米豪が60周年同盟を強化へ
12日、米国防省のGeorge Little報道官が発表したところによると、パネッタ国防長官とクリントン国務長官が、14—16日にかけてサンフランシスコで開催される豪国防省と豪外相との閣僚協議に参加します。「2+2」です。
●本年は、1951年に締結されたANZUS同盟60周年の節目に当たることから、9月15日にはANZUS同盟が署名されたPresidioと言う場所で60周年を祝うようです。
●なお報道官は本会談での話題を、「アジア太平洋地域での課題」、「同盟の改善深化方策」、「世界の安全保障問題」と語りました。
この場で、以下の記事で紹介した米軍のアクセス強化や作戦協力の強化が合意されるのでしょう。
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いよいよ米国でも夏休みシーズンが終わり、仕事モードに入ったようです。
6日付「DODBuzz」記事は、間もなく米国と豪が、豪国内軍事施設への米軍のアクセスをより容易にする協定に署名する予定であると報じています。パネッタ国防長官とクリントン国務長官が署名すると言われる協定は、物理的なアクセスだけでなく、情報共有や運用面の連携強化をも意味するようです。
最近米国はアジアでの米軍について、「地理的に分散し、運用面で打たれ強く、政治的に持続可能な体制」を目指すとしていますが、その目玉が豪基地の作戦基盤としての位置付け強化です。中国の弾道ミサイル脅威にさらされる日本、韓国、グアムから、より遠方で政治的にフレンドリーな場所を求めた自然な結果です。
記事が伝えるところは・・・
●豪の新聞が伝えるところ、豪は既に、米国防省が実施している戦略見直しの中で主要な鍵となる役割を果たしている。それは西太平洋地域の他の場所から撤退又は縮小し、米軍のプレゼンスを豪に加えることを意味している。
●米軍の豪へのアクセスを増やすことは、中国軍事力の台頭や将来の脅威に備えるため、オバマ大統領が進める「世界的な兵力配備見直し」における大きな特徴である。
●豪のスミス国防相は、豪軍戦力をどのように配置するかに関する米と同様の戦略見直し作業を豪国防省スタッフに命じており、米豪両国は緊密に連携しながら「見直し」作業に取り組んでいる。米国は戦力を世界にどのように再配備するか検討しており、豪は西太平洋における作業で米と密に協力している。
●米は豪国内に新たな基地を設置することを考えていない。政治的に全く問題のない既存の豪基地や基地でない場所へのアクセスが歓迎されているからである。米豪両国は、西太平洋地域での問題が差し迫っていない比較的平穏な今が協定締結のチャンスだと考えている。
●先日米国防省が議会に報告したレポート「中国の軍事力」の31ページがこの協定の背景を示している。中国の様々な射程の「接近拒否戦略」ミサイルが図示されており、韓国、日本、グアムが射程内にあるが、豪はまだその外にある。
「レポート「中国の軍事力」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1
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いよいよ動き出しました。
米海軍は、南シナ海、マラッカ海峡やインド洋へのアクセスがよい、豪西海岸の海軍基地をメインに考えているようです。
8月2日発行の23年度防衛白書は、米と豪と日本の協力強化を語ろうと些細な事象を取り上げて努力していますが、米軍の日本から豪への「転進」(撤退とも言う)の流れは益々明確になりつつあります。
海上自衛隊も第7艦隊と一緒に豪までついて行くのでしょうか??? 「平穏な今」しか検討の時間はないのに・・・
「米海軍は日本から豪へ移動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「豪との関係強化へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09
「防衛白書担当官僚の代弁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03-1