6日付「Defense News」記事によると、米海軍は空母ジョージワシントン(GW)の核燃料補給を行わず、寿命半ばで退役させて予算削減を図る模様です。これには同空母に艦載されている航空機約70機と船員約3000人の削減を含みます。
2つの異なる国防省筋によれば・・・
●通常原子力空母は約50年の運用期間を想定し、その半ば約25年経過時に3年間かけて大規模修理と核燃料交換を行う。しかし今議論されている2023年までの予算削減目標を達成するため、海軍は空母GWの大規模修理と核燃料交換を行わない方向を来春打ち出す模様
●以前、空母の建造期間を現在の5年間から7-8年に伸ばして現役空母数を低下させる検討されたようだが、現在はこの方向は消えたようだ。
●現在は空母ルーズベルトが大修理の最終年にあり、空母リンカーンが来年夏から3年間の修理と燃料交換に入る予定。しかし空母リンカーンの修理契約は既に締結され、準備のため部品の調達も開始されており、現時点での修理停止はむしろ無駄と前海軍トップのラヘッド提督も語っていた。
●空母GWの修理や燃料交換の計画は未着手で問題はない。仮に核燃料交換や大規模修理を行わなければ、空母GWは2016年から2021年の間に運行を停止することになる。最終的な時期は、予算状況や2つ搭載されている原子炉の燃料がいつまで持つかによる。
●空母GWの母港である横須賀は、主要活動海域である西大西洋に近く、日本からの支援もあり、かつ日本の海上自衛隊も母港とするずば抜けて素晴らしい整備能力を保有していることから、空母GWに取っては活動期間が伸びる要素もある。
●空母11隻体制が10隻体制になるわけだが、現存する10個の艦載航空団の一つも同時に削減され約70機の各種航空機も削減される。乗組員約3000人も削減になり、各種要員の継続的な養成訓練経費を含めて空母の寿命20年削減を考えると、予算削減の即効性はないが長期で見ると大きな効果を上げる。
●もちろん空母1隻の削減は、残った10隻の負担を増加させ、展開や派遣期間が大幅に増加し乗員への負担増や整備維持費の上昇も予期される。
●一方で空母11隻体制は議会で決められており、その変更には議会の承認が必要である。退役海軍提督によれば、仮に燃料交換と大規模修理を行わなくても最終退役までには期間があり、来年の大統領選挙後や政界の勢力変更後の様子を海軍は伺っているのでは・・・と推測している。
●本件に関し米海軍報道官に質問したところ、「来年2月に2013年度予算要求案が提出されるまで、全ては検討段階であり最終決定ではない。現時点で細部を話すことはしない」との回答であった。
///////////////////////////////////////////
陸軍では10個旅団の削減や5万人削減計画が検討されているようですし、海軍もいわば賢く予算削減案を検討しているようです・・・
空軍からはあまり何も聞こえてきませんが・・・。
「陸軍が5万人削減計画を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-27
「陸軍は10個旅団削減案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-02
「国防省の予算削減案は来年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-08-1