11月18日頃、米国防省は、本来であれば3月1日までに議会へ提出するよう求められていた「Cyberspace Policy Report」(14ページ)を議会に提出した模様です。
レポート現物→http://www.defense.gov/home/features/2011/0411_cyberstrategy/docs/NDAA%20Section%20934%20Report_For%20webpage.pdf
まんぐーすは読んでいませんが、15日付ワシントンポスト紙が「読みどころ」を事前入手したレポートも元に記事にしていますのでご紹介します。
「米国はサイバー攻撃を準備している」と書き出す記事は・・・
●5月政府発表の「サイバー国際戦略」や7月の「国防省サイバー戦略」が「攻撃者の利益を否定する」防御に焦点を置いていたのに対し、本レポートは「米国防省は、我が国や同盟国や国益を守るため、サイバー空間で攻撃作戦を実行する能力を保有している」と明確に述べている。
●同時に、米国に対するサイバー攻撃を行う相手は、「悲惨なリスクを負うことになる」と警告している。
●更に本レポートは、「防御策が敵対的行為の防止出来なかった場合に備え、国防省はサイバー空間や他のドメインで軍事的に対応する能力を維持し、開発を続ける」と述べている。
●ただ5月公表の「国際戦略」では、「米国はサイバー空間での敵対行為に対し、緊要な国益を防衛するため、外交・経済・軍事全ての手段を行使する権利を保有している」とする一方で、「サイバー空間での敵対行為への対応に力を用いることは、それ以前に全ての(他の)オプションを行使した場合にのみ可能」と釘を刺している。
●本レポートは、サイバー空間で攻撃を受けた際の即時自動対処の必要性を示唆しているが、同時にそのような反撃は大統領の指示の基でのみ実施されると述べている。
●ただし、どの程度のどのような自動反撃を許容するかの判断は難しく、専門家は「予期していないような程度の反撃が即座に行われる可能性に懸念を持っている」と語っている。
●レポートはまた、「敵対地域」や「戦場」に於いてはサイバー防御の特別交戦規定が適応され、現在はアフガンのみに許されていると説明している。
●軍人が関与しない戦場での「stand-alone cyber operations」は、議会への通知義務を発生しないとレポートは示唆しているが、大規模な作戦の一部にサイバー分野が含まれる場合は、大規模作戦が通知の対象になる可能性があると見ている。
●専門家は、サイバー空間でのどのような行為が「use of force」の要件になるかに触れていないと指摘しているが、レポートは大統領の判断によるとの記述にとどめている。
●またレポートは未解決の問題、例えば戦場以外でのサイバー交戦規定、中立国システムを利用しての反撃に関する事前協議、サイバー戦能力のデモンストレーションの適否についても触れていない。
/////////////////////////////////////////////
相変わらず、攻撃側の自由奔放さに比べ、民主主義国の防御・反撃体制は難しい壁に直面しているようです。
最後は、大統領や国家指導者の判断・・・「恐らくこれこれの影響がでると考えられますが、正直なところ副次的な影響については予測できません。大統領どう致しましょうか?」と問われたら、取りあえずやってみよう・・と考えるのか・・。
「米空軍サイバー攻撃規則」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-11-2
「発表:サイバー作戦戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-15
「サイバー国際戦略を発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-17
「誰がサイバー攻撃に対応するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-12
「米空軍がリビアでサイバー攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-02-1
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02