本日は休日企画です。
今年は悲しい出来事が多かったのですが、アップルSteve Jobs氏の死去もその一つです。強烈な個性と画期的な商品の数々は、時代を変えた伝説的人物と言われるに相応しいインパクトを持っています。
仏教や日本に大変興味を持っていた、又は美意識の根元に禅の思想が・・・と分析されることもあるジョブ氏を巡る話が、12月5日号の雑誌Presidentに掲載されていましたので、一部をご紹介します。
Steve Jobs氏に関して良く話題に上るのが、2005年のスタンフォード大学卒業式での講演です。
特に、社会に巣立っていく若者への言葉として、スピーチの締めに用いた「Stay hungry, stay foolish」との表現が各所で引用されています。この言葉の訳は各種存在しますが、最近出版されたJobs氏の公式伝記の日本語訳を担当した井口耕二さんは・・・
「ハングリーであれ、分別くさくなるな」・・・と訳しています。
そんなJobs氏の言葉の元は、禅僧の言葉である、との話が紹介されています。元となる禅僧の言葉は・・・
●「愚の如く、魯の如く、良く相続するを主柱の主と名ずく」・・・(曹洞宗の「洞」の字の語源 洞山良价禅師が説いた言葉)
ここでの「愚」は自分の愚かさ・馬鹿さ、「魯」は一般的な愚かさ・馬鹿さを示すようです。(まんぐーす解釈)
また、「良く相続するを・・・」は「コツコツと一つのことを続ける人がもっとも強い」との意味だそうです。
全体では、「形ある物は必ず滅びる。だからこそ、命ある間にたゆまず精進し、一瞬一瞬の生を最大限発揮せよ」との解釈が出来るようです。
Jobs氏は、1973年にインドへ旅行した際に仏教に魅せられ、帰国後、加州の禅センターにいた禅僧の知野弘文老師のところへ頻繁に通うようになったようです。
「Stay hungry・・・」の語源の話は、知野老師の弟子に当たる秋野老師(曹洞宗北米布教責任者)がPresidentに語ったようです。
//////////////////////////////////////
Presidentの記事はこのほかに、Jobs氏がアップルの理念「フォーカスとシンプルさ」を語る時、「シンプルであることは、複雑であるより難しい」と表現していたことも、禅の理念を彷彿とさせると紹介しています。
最後に家族と外食に出かけ、日本食レストランで鍋焼きうどんを注文したJobs氏。食べることが出来ず、じっと見つめていたそうです。
MS-DOSが主流だった頃、はじめてマッキントッシュのマウス操作に触れて感激したことがありました。
禅とJobs氏を無理に結びつけようとは思いませんが、信念あるところに道が開けるのは、洋の東西を問わず真理なのでしょう。