実力派の新国防副長官が就任

carterashton.jpg9日、カーター国防副長官の正式な就任式が行われました。カーター副長官は10月6日からリン前副長官の後任として職務に就いていますが、約一ヶ月を経て正式就任式が行われました。米国防省HP記事より
ゲーツ前長官とリン前副長官の関係は、明確な任務分担に近いモノがありました。リン副長官がサイバー、宇宙、産業界との調整等の新規業務増加分野を司り、ゲーツ長官が政治との接点から軍政全般を仕切っていた様でした。
パネッタ長官の考え方は少し異なり、少々乱暴に表現すると、「長官の考え方に従い、国防省の仕切りは副長官が基本的に行い、長官が判断すべき重要事項に絞って持ってこい」との仕切りになっているようです。
<strong>史上最高齢の国防長官で、しかも予算を巡る政治的駆け引きや議会対策等が重要になる時期の国防長官であることから、また国防省業務に精通しているわけではないことも背景にあると思われます。
従って、カーター副長官の役割は重要で、国防政策全般に与える影響もこれまでの副長官よりもかなり大きくなるモノと思います。実際、その職責に相応しい国防省での実績も十分です。
過去の国防省勤務歴は・・・
1980年代に最初の国防省勤務。次に1993~-96年のクリントン政権時代に、国際安保担当の国防次官補
●ハーバード大で教鞭の後、2009年から国防次官(取得開発兵站担当)として、装備品調達改革に大なたを振るい、軍需産業界から「装備品調達のシーザー」と呼ばれて恐れられた
パネッタ長官は就任式で・・・
panettaSASC.jpg私は副長官に、私の「分身(alter ego)」であって欲しいと思う。分身とは、いつでも私の位置に立って国防省を動かせる人であり、基本的に国防省を管理監督し、運営できる人のことである。
●カーター副長官は創造性と分別を兼ね備え、国防省を高見に導くに必要な輝ける思考家である。
●アッシュ(副長官の愛称)が持つ、変革を組織にもたらす経験、才気、能力は、この課題山積の時代にあって、国防省を鍛えて将来に備え、軍を近代化して強化する機会を生かすために必要不可欠なモノである。
カーター副長官は・・・
●この10年間、我が国防省はイラクとアフガンでの戦いに集中していた。これらはまだ終わっていないが、国防省は将来に控える挑戦に向かう責務を負っている。
●このため、我々は兵器システム、部隊、機関、習慣について良く把握し、新たなモノもしっかり掌握しなければならない。そして、国防省はデンプシー統合参謀本部議長が求めているJoint Force 2020を作り上げならない
carter2.jpg●国家予算が削減され、国防予算も低下傾向になるだろう。しかしその際も過去の予算削減の落とし穴を何としても避けなければならない
●我々は、議会や大統領の前に、我々が考え得る最高に誠実で慎重に理性的な提案を提示しなければならない。パネッタ長官が言うように、我々には財政秩序と強靱な国防の2者択一は必要ないのだ
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カーター副長官は、国防省の効率化や経費節減だけでなく、根本となる戦略的見直しと、将来どのような軍を保有すべきかの検討取りまとめも課せられています。
つまり実務の全てを取り仕切る、国防省の「陰の帝王」(この昭和の臭う表現・・・)の出現かもしれません。チョット大げさか・・・。でもそれくらい豪腕です。
カーター副長官の豪腕ぶり
「コスト超過は企業責任」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20
「調達制度改革は進展」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16-2
「国防省コストカット発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「KC-X最終決定 泥沼回避か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25
「調達及び開発改革の指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1

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