2日は軍関係者から予算削減の影響に関する発言が相次ぎました。昨日は長距離爆撃機に関するシュワルツ空軍参謀総長の発言をご紹介しましたが、そのほかにも多くの幹部が下院軍事委員会で発言しています。3日付「DoDBuzz」より
いずれも最終決定ではなく、現在も継続中の「態勢見直しReview」の途中経過のようなモノですが、本ブログで取り上げてきた注目の装備品に関する言及もあり、深刻さが伺えますのでご紹介します。
その前に米空軍F-35の運用開始時期に関し
●カーライル空軍作戦計画部長(中将)は、米空軍F-35の初期運用体制確保時期が、これまで考えてきた2016年から2018年に遅れることを認識している、と下院軍事委員会で公式に認めました。
●同部長は、F-35の遅れを埋めるため、比較的新しいF-16に対し延命措置を検討している。現在の寿命飛行時間8000時間を1万時間に延長する施策で、1機当たり$9.4 millionが必要である。
●この措置を約600機保有のBlock 40~50タイプの内、300~350機に対し行うことになるだろう。これにより同機を2030年頃まで運用させることが出来る。
その他影響を受ける空軍機
●C-27輸送機
陸軍のプロジェクトとしてスタートしたが、陸と空の参謀総長間の申し合わせで空軍に引き継がれている。しかし予算削減により今後調達予定の17機について実現が不透明
●U-2偵察機
2014~2015年に運用を終了し、RQ-4グローバルホークに任務を引き継ぐ。
●T-X次期練習機(T-38の後継)
T-Xは安全に抑制できるプログラムである。ライス教育訓練コマンド司令官は「T-38は見通しうる将来、何の制限もなく飛行することが出来る」と述べ、T-X構想中断の影響がないことを9月に強調している。
●軽攻撃偵察機LAAR
アフガンのような戦場で十分な効果を発揮するプロペラ攻撃機。Hawker Beechcraft AT-6やOV-10 Broncoなどが話題に上ったが、4日国防省調達関連幹部は、予算削減により計画の存続は無いと下院で発言
「プロペラ攻撃機が復活か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18-1
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以上の種々の施策は、いずれも別の新たなプログラムとセットで計画されており、新たな計画や装備が議会で受け入れられなければ実行出来るか不確定な様です。
あらゆるリスクを臭わせながら、予算削減の阻止を訴える各軍首脳です。
F-35に関して発言のカーライル中将は、前職が対中国の航空作戦を指揮する任務も帯びた第13空軍司令官で、西太平洋地域の米軍や同盟国の状況もよくご存じの方です。
それにしてもF-35の実運用開始の目途は、実際のところいつになるのでしょうか? 下記4月の過去記事では、2019年のラインも囁かれていますが・・・。日本が仮に導入するとすれば、20年代半ばではないでしょうか。
「F-35操縦者養成開始に警告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-02
「豪が米のF-35計画を精査中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-29
「F-35を2016年に日本へ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-16
「空海軍用F-35は2017年以降」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-24