懐かしのゲーツ前長官が吠える

ああ・・お懐かしや
AtlanticCouncil.jpg13日、6月末で国防長官を退任したゲーツ氏が久々に公の場で発言しています。懐かしさで、思わず顔もほころぶ「まんぐーす」です。
発言の中身は、議会の機能不全を嘆く内容で、併せて欧州との一体感欠如にも及んでいます。
スピーチの場は、フォード及び初代ブッシュ大統領の安全保障担当補佐官として名声を誇ったスコウクロフト将軍の功績を讃える、Atlantic Councilによる夕食会です。
スピーチの冒頭はお馴染みのジョーク。初代ブッシュ大統領が閣僚の「居眠り度」を3つの側面から評価し、スコウクロフト氏が2側面で満点を取り「居眠り王」に選ばれたとの逸話(?)です。
しばしばゲーツ氏が、居眠りをする士官候補生へのジョークで使っていました。ちなみに3側面は、居眠りの長さ、深さ、復帰力で、深さ側面でいびきで高得点になります。また復帰力は、目覚める時に手元のカップを押し倒したりすると高得点で、同氏は長さと復帰力で満点だったそうです。
ところでゲーツ氏はスピーチで・・
上下院議員には、妥協する力の無さや党派の垣根を越えた戦略を形成する能力の欠如しており、更に我が国の真に重大な課題への政策立案への取り組みも欠けている
●ワシントンDCは、「肥大したエゴと縮小した信念(oversized egos and undersized backbones)の街」となっている。「ゼロサム」政治とイデオロギー占領戦が新たな決まりとなってしまっている
●我々の政治システムの基礎となる穏健な中道精神が失われている。この背景には、共和と民主両党に於いて、各党のイデオロギー基盤となる重要な守るべき議員の議席を保つ施策を制限している事がある。
Atlanticscowcroft.JPGかつては、議会の委員会に強力な委員長が存在し、党派を超えて妥協点を探る働きをしていたが、今では妥協が「売り切れ」状態になっている。
●また、かつて米国と欧州の関係を取り持っていた強力で影響力ある仲介者が公務から去りつつある
我々に続く世代の者たちは、我々世代の様な歴史的、親交的、そして感情的な絆を欧州と共有していない。そして欧州の防衛に再び投資することに価値を見出しはしないだろう
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この行事には、スコウクロフト氏の他、ブレジンスキー、キッシンジャー、ジョーンズ、ハドレー前大統領補佐官等が出席し、パネルディスカッションも行われています。
それでもAtlantic Councilは、ゲーツ氏のスピーチのみを全文を掲載してその主張に賛同の意を表しています。
どこかの国にも通用するような内容のお話でした。「Defense News」にも記事有り
退任間際、ゲーツ前長官が怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「戦車、空母、戦闘機に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「ロシアでCIAの思い出を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2

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