久々にパネッタ国防長官に登場いただきましょう。
30日、某シンクタンクが選定した「実用主義と理想主義の両方の体現に優れた指導者」に選ばれたパネッタ長官が講演し、混乱する米議会や政治指導者の状況を非難し、困難な状況下のリーダーについて語りました。
シンクタンクStimson Centerが主催した毎年恒例の行事ですが、パネッタ長官を讃えるゲストとして、クリントン元大統領(パ長官がホワイトハウス参謀長として支えた)、クリント・イーストウッド(パ長官が議員時の地元市長)、ペリー元国防長官(クリントン政権で長官)が登場する大きな行事だったようです。
パネッタ長官は講演で・・・
●我々の民主主義は、リーダーにも危機にも統治されうる。リーダーシップが不在だと、危機に政策が翻弄されることになる
●米国民の政府機構に対する信頼を、いろいろな意味で失ってしまったのではないかと危惧している。なぜなら、我が民主主義に必要な献身、犠牲の精神、ハードワークを、国民が目にすることがないからである。
●我々は全てこの国の統治を助ける責務を負っている。3権分立は素晴らしい形式だが、同時に停滞・行き詰まりを招く意味でも完璧な仕組みである
●この停滞や行き詰まりを打ち破るには、リーダーシップを発揮し、妥協点を見つけ、答えを導くために犠牲を受け入れる人の営みによるほかない。
●これこそが我が民主主義の核心であり全てである。そしてこれこそが今欠けているモノである。共に協力して犠牲を分かち合い、妥協点を見つけ、リーダーシップには付きもののリスクを引き受ける必要があるのだ。
●本シンクタンクの創設者Henry Stimsonは言った、「最後の勝利に向けて善道を追求して止まない者は、つまづきや災難に遭遇しつつも決して敗北しない。その過程で最も卑しむべきはcynicism(冷笑主義、皮肉な見方、無視する態度)である」
●今晩のこの時から、米国はこの危機を乗り越えられないとか、下降線をたどると言ったcynicismな見方と私は戦う決意である。同時に米国の指導者は、国のため最前線に自らの命を捧げて立つ者たちの精神に思いを致すべきである。
●国の選ばれたリーダー達は、国家の重要な問題を解決するために困難な選択を進んで行う者たちであることを、国のため前線に立つ者たちに確信させなければならない。
●アメリカンドリーム、つまり、我々の子供達に、より良い人生を与えたいとの夢のために。
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こんな話を日本語で聞かなくなって久しいような気がしますが、まんぐーすは時々は取り上げたいと思います。
ゲーツ前長官の語り口とは別のアプローチで、貧しいイタリア移民の子供であるパネッタ長官の思いにも、味わい深いものがあります。
冒頭のジョークは、「クリント・イーストウッド監督には、僕の映画を作るとしたら、僕の役は・・・にやらせろ、と伝えてある」等々・・いろいろあります。ぜひトランスクリプトでご確認を
「運命の傍観者たることを拒む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13-1
「パネッタ長官が使命感と信条を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-07
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09