WSJが選ぶ2011年の発明

お正月元旦の日本語版ヤフー・ニュースに掲載の、WSJ紙記事の翻訳です。
記事にあった発明の中から、6つを取り上げて簡単にご紹介します。
IBMのワトソン・コンピューター
IBMwatson.jpg●2011年2月、IBMのワトソン・コンピューターが米国の人気クイズ番組「Jeopardy」に登場、2人の前チャンピオンを打ち負かした。人工知能の歴史に残る偉業で、SF映画「2001年宇宙の旅」の人工知能「HAL9000」が思い出される。
●ワトソンは言語や人間の知識という複雑な領域を理解する目的で作られたが、単に優れた研究開発プロジェクトではない。
医療保険会社はワトソンを使って、医師向けに治療の選択肢や診断を提案することを計画している。IBM幹部によると、ワトソンがコールセンターや工業技術など他分野に応用されれば、3年から5年後に約770億円の事業に成長する可能性がある。
●アップルのiPhone向け音声認証ソフト「シリ」も注目を集めた。シリは、機能は限定されているが、音声で操作する消費者製品の先駆け。利用者の過去の行動や好みに基づいて、利用者に代わって決定を下す改良版ソフトが発売されるかも。
X-47B艦載無人攻撃機
X-47B.jpg昨年2月、無人戦闘機がロサンゼルス北部の砂漠地帯の上空で29分間の試験飛行を行い、海軍航空機は新たな時代に入った。
●X-47Bは、飛行経験が豊富な人間が遠隔操作するような普通の無人飛行機ではない。飛行任務を管理するのはコンピューターだ。オペレーターがマウスをクリックするだけで、エンジンがかかり、攻撃機が空に飛び立つ
●同機はノースロップ・グラマンが開発した。機内にある2つの兵器倉には最大4500ポンド(約2トン)の兵器を搭載することができる。同機は空母の移動甲板から離発着できる初の無人飛行機である。2020年までに配備の予定
生きている写真(Living Pictures)
Lytro.jpg●写真撮影の世界に大旋風を巻き起こしたのは、シリコンバレーに拠点を置く新興企業Lytroだった。
●このカメラがデジタル写真技術における革命的な進歩と言われるのは、撮影後にピントを合わせることができる「生きている写真」を撮影することができるから。写真を表示して、ピントを合わせたいところをクリックするだけ。
●ライトロによると、100年前に発明された「ライト・フィールド・カメラ」に最新の技術を導入し、通常のデジタルカメラよりもはるかに多くの情報を記録できるようにした。
●昨年10月に1台399ドルから499ドルで受注がスタート、受け取りは今年初め以降となる。
経カテーテル人工心臓弁「サピエン」
Sapien.jpg●目詰まりした動脈の治療にステントが使われるように、エドワーズ・ライフサイエンスが開発した「サピエン」は大動脈弁きょうさく症の治療に用いられる。開胸手術が不要
●サピエンは牛の組織やポリエステルなどでできており、昨年11月2日に米FDAの認可を受けた。同製品は開胸手術を行わずに、大腿動脈か胸部の小さな切開部からカテーテルを挿入して置換する初の人工心臓弁である。
●心臓内科医が担当するステントの利用が増加した結果、心臓外科医が扱う手術が著しく減少、心臓内科と心臓外科という2つの分野の間に溝が生じていた。サピエンはこの2つの分野の協力によって開発され、両方が使用可能で、2つの分野の関係修復にも役立つ。
簡単診断ペーパー
DFA.jpg切手サイズの紙で世界中の悩ましい病気の一部を診断することができるかもしれない。しかも、かかる費用は1セント以下
Diagnostics for Allはボストンに拠点を置く非営利団体で、バイオテクノロジー企業の幹部であるウナ・ライアン氏が創設し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金を提供している。
●同団体は、特別処理された紙を使った血液検査の手法を開発した。血液や尿1滴を紙にたらし、問題が見つかれば、数分以内に紙の色が変化する。
●この製品はまず、結核に罹患しているアフリカのエイズ患者の検査に使用される。結核にかかったエイズ患者は非常に強い薬を服用しているため、肝不全で死亡することが多い。この検査紙を使えば、血液中の毒性を検出する肝機能検査は0.1セント以下で実施できる。外部の電源や機器は不要。
トライゲート・トランジスタ
Tri-gate.jpg●半導体チップが改良され続けなければ、パソコンもスマートフォンもiPadも無かったろう。インテルは3次元構造のトランジスタを開発、イノベーションを加速している。
●本トランジスタはチップに「フィン」のような立体的構造を採用し、1959年以来の半導体の設計を根本から変えた。インテルは、狭い土地に住宅を建てる高層建築物を開発した建築家、といえる。
●インテルによると、現在の半導体と比較すると、パフォーマンスは37%、消費電力は50%改善する。電子機器のさらなる進化を後押しすることが期待される。
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特に解説もコメントも出来ませんが、空母艦載無人機X-47Bが入っているのは、「戦い方」の大きな変化をも見据えてのことでしょう
どれだけそのことが理解されているのでしょうか・・・
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
「補足米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-2
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07

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