新味なき戦略発表

●安物オペラより中身なし。実質7ページのペーパーは既知の内容がほとんど
●具体的数字等は来月予定の予算案公表まで待たねば
dodObama.jpg5日、オバマ大統領がわざわざペンタゴンで会見を行って公表した「Sustaining Global Leadership: Priorities for 21st Century Defense」との実質7ページの文書は、会見室を埋め尽くした記者達を大いに落胆させたようです。
各種軍事情報サイトは、例えば「they came away disappointed」との表現で会場の雰囲気を伝えています。
新聞報道が取り上げている「西太平洋重視」や「2正面作戦放棄」や「Air-Sea Battle」は織り込み済みで、「各軍種横並び一律カットではない、戦略に基づく投資」は既に耳にタコほど聞きました。
軍事記者達(まんぐーすも)が例えば待っていたのはF-35の調達をどれだけ削減・遅らせるか」、「地上兵力をどの程度削減するか」、「予算強制削減の影響をどのように反映するか」への回答でしたが、全ては一般教書演説後の来月に予定の予算案公表まで先送りされました。
新たな(?)ガイダンスが重点投資に挙げたのは
●接近拒否戦略への対抗手段:ステルス、長距離攻撃能力、無人システム
サイバー戦への備え
大量破壊兵器、特殊作戦、対テロへの備え
パートナーシップ強化計画
多少具体的な削減表現(雰囲気)があったのは・・
核戦力(部隊)の削減
欧州米軍の変化
アフリカや南米での支援計画の見直し
目新しい言葉としては「Reversibility(可逆性)」
●「Reversibility」とは、国防省が削減や遅延や縮小する全てに関してそれを「undo」する能力を維持する事を意味する。
発表について5日付「DODBuzz」は・・・
dodPanetta.jpg具体的予算案発表前の空騒ぎ前奏曲に過ぎず
マスコミや国民の目が、アイオワ州やニューハンプシャー州の共和党予備選挙に向く中、大統領が共和党から叩かれている「国防に冷淡」とのイメージと戦うため、わざわざペンタゴンで将軍達を引き連れて演説する機会を設けたような気がして成らない
●両党波の折り合いが付かず、昨年11月23日に決定した予算の強制的削減への対応には何も触れなかった。パネッタ長官がわずかに、そのようなことがないことを望む、とコメントしただけで何も前進しなかった
●ワシントンDCの全て、いや全世界が注目したオバマ大統領のペンタゴン訪問による発表とパネッタ長官の登場は、結局行き詰まりが継続することを確認して終わった
5日付「Defense Tech」は
●この文書は、今後の兵器購入や戦力構成決定を導くモノであり、さらっと読めばよい(so have a blast reading the tea leaves)。
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DOD2012.JPG年末年始の不摂生からくる気力不足のため、実質7ページ余りの文書を十分見ないで書いてしまいました
余りにも軍事サイトの評価が冷淡で、まんぐーすがパラパラ見ても具体的な内容が無いことは明らかなように思いましたから・・。
会見質疑も含め、何か気づくことがあれば補足いたします。
●戦略の背景にある米中衝突シナリオ
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
●既に進行中の本戦略
「補足米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-2
●既に語られた本戦略
「パネッタ長官初のアジアツアー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2025年の海軍を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19
「補足海軍トップが語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-20

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