海軍に注目 中国安全保障レポート

chinaRP2011.jpg昨年に続き2回目の発行となった防衛研究所の「中国安全保障レポート2011」が、2月10日に公表されています。英語及び中国版も同時公開のがんばりを見せています。
昨年もご紹介したように、本レポートは「防衛省の公式見解ではない」と明記され、「防衛研究所の執筆担当研究者の見方」との位置づけですが、防衛省と全く異なる見解が示されるはずのないモノです
今年のレポートは、権益確保に活動活発化の「中国海軍」に焦点を当てており、経済、軍事戦略、海賊対処活動、対外的発言、多国間協議への参加等の側面から、多角的に分析しています。
南シナ海と東シナ海との比較等、面白い指摘もあるので、遅くなりましたが16日付業界新聞「朝雲」webサイトからご紹介します。
経済面
●天然資源が眠る南シナ海で、ベトナムやマレーシアに「海洋権益が一方的に奪われている」との危機感を中国は持っている。
●一方で、東シナ海で中国の大規模な実弾演習がない等、相対的におとなしいのは、東シナ海における資源開発で日本に先行しており、かつ米国の強力な前方展開能力が維持されているから。
●ただし、今後中国軍の同地域で強化されれば、南シナ海と同様の強硬姿勢もあり得る。動向に要注目
hainan.jpg軍事戦略面
●米軍への対抗のため、海南島地下式の潜水艦基地が建設された模様。同基地は海中とトンネルで結ばれ、潜水艦の出入りが探知できないよう配慮されている。
●本基地を出航した潜水艦は、バシー海峡を通過して太平洋に進出、米空母機動部隊に一定の制約を課す可能性
中東での海賊対処活動
●ソマリア沖等での海賊対処行動を通じ、中国海軍は外洋での運用、補給、指揮統制能力の向上を目指している。派遣部隊が「演習」を行うことで、実質「外洋海軍」化を狙う可能性
●海賊対処活動のために大型補給艦の建造着手し、海外拠点を構築する可能性もある
chinabeauty.JPG軍人の強硬発言
●広い文脈で対外的に「核心的利益」の尊重を求める人民解放軍の姿勢は強固である
●新たな動きとして、主権や海洋権益を巡る軍の態度表明が増加傾向にある
多国間協議への解放軍参加
●中国はこれまで、米国の関与を嫌ってアジアでの多国間協議(拡大ASEAN国防相会議やARF等)を回避しようとしてきた
●しかし今後は、人民解放軍による多国間協議枠組みへの関与が強化される可能性がある。
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東シナ海の分析はどうでしょう・・。今は静かにして、米軍事予算削減を側面支援しているのでは(結果論かな?)。
ChinaGenChenBingde.jpg軍人の多国間協議参加や発言増は・・
軍部の支持得るため軍人に発言を許す  経済減速でも新装備を要求  新装備を得て軍人は行動を増長、得ないと不満表明  政府の意向や方針を尊重しない  手に入れた装備で火遊びを  周辺国と偶発的な衝突  ネット世論が弱腰を許さない  情勢が加速的に悪化・・・てなことにならないよう祈るばかりです。
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
「米中激突シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「マレン議長訪中と美人通訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12
「中国軍トップ訪米と美人通訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
「防衛白書担当官僚の代弁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03-1
「(2/2)「防衛白書」5つの背信」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-12
「(1/2)「防衛白書」5つの背信」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-11

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