イランの核開発とその阻止に関しては種々の報道や分析が成されていますが、28日にイスラエルのバラク国防相がパネッタ長官及びデンプシー統合参謀本部議長と3人だけで会談したこと等が報じられ、メディア的には話題に事欠きません。
ただ、軍事的側面からは容易でないとの見方が一般的なようで、パネッタ長官も「軍事的手段を用いても1,2年遅らせることが出来るだけ」と述べているところです。
「パネッタ:対イラン攻撃は・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-05
1日付「Defense Tech」が、軍事的オプションについて独自の見方を披露していますのでご紹介します。最近の軍関係者の発言も含め・・・
昨夏まで統参副議長のカートライト氏は先週、
●イランの核兵器開発を阻止することはほぼ不可能
シュワルツ空軍参謀総長は29日、
●イランの挑戦的な核兵器追求姿勢は、統合参謀本部や安全保障関係者の注目を集めている。
●我々は大統領にオプションを提示するのが役割だが、その役割は既に果たしている
Defense Techの予想攻撃様相は・・・
●攻撃はまず、無人機RQ-170による電子戦攻撃とサイバー攻撃により、イランの防空組織と指揮統制組織を攪乱又は機能停止させる
●その後、F-22に援護されたB-2爆撃機が、30層に及ぶ強化コンクリートも貫通可能な3万ポンド巨大貫通爆弾(MOP:GBU-57)を投下する。
●しかし最近、イランの施設が想定よりも強固で、MOPでも破壊できるか難しいかもとの分析がなされ、本年2月に議会がMOPの改修予算を承認したばかりである。
●そこで空軍はMOPによる貫通施設破壊だけでなく、地下施設に通じるトンネルや通路に被害を与えて施設を生き埋めにし、少なくとも相当期間施設の使用を不可能に出来る
●攻撃がうまくいけば、核施設の入り口やトンネルへの攻撃で生じる爆風や高圧衝撃により、内部の核兵器開発施設や装備を破壊できるかも知れない。
●上記の様な攻撃には、当初はB-2に搭載可能な貫通弾である巨大なMOP(GBU-57:3万ポンド)やバンカーバスター(GBU-28:5千ポンド)が使用され、その後爆風やエリア破壊のためにGBU-43(MOAB:巨大気化爆弾:2.3万ポンド)投下するオプションがある。
●ただしGBU-43:MOABはC-130からのみ投下可能で、イランのA2AD突破に課題が残る。
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バンカーバスターは、湾岸戦争開始直前に急遽開発され使用されたモノで、イラク戦争でも投入されている。2005年にはイスラエルに100発提供する合意が成立、また2005年には韓国に同爆弾を提供することが承認されている
巨大貫通弾MOP(GBU-57)は開発計画に遅れはあったが、2011年9月に米空軍はB-2搭載用の20発を受領している。ただし更なる貫通力強化・改修のため2月に追加予算を認められたばかり
GBU-43:MOAB(Air Blast bomb)は貫通弾ではなく、それほど強固でない地表目標、特に谷間や洞窟内の広範囲な目標を想定したモノである。地表目標の破壊であれば、通常爆弾を大量に投下すれば同様の効果が得られるが、巨大な爆発による敵への心理的影響も期待されている。イラク戦争時に前線に配備されたが未使用。
どうなることやら・・・
「対イラン?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16-1
「F-35用貫通弾開発は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-22-1
「前モサド長官イラン攻撃は馬鹿」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-12
「なぜアフガンにRQ-170が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-28-1
「ビンラディン作戦とRQ-170」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03