情報共有が英豪加NZとは比較的容易で、日本や韓国とは難しい
11日、国防省のサイバー政策筆頭課長(principal director for cyber policy)が講演で、これまでNATOや英や豪やカナダと進めて来た対サイバー戦での協力協議を、最近日本や韓国やニュージーランドとも始めていると語りました。
ジョージタウン大学で行われたサイバー分野への国際的取り組みに関する会議で、オランダやロシアの専門家も参加し、サイバードメインでの外交努力や国際協力について発表したようです。
Steven Schleien課長の発言を米国防省webは
●2010年のリスボンNATOサミットで合意された、NATOサイバー事案対処センターが今年後半に完成する。サイバー世界で敵対的行動を取る者は、我々の相互協力によって駆逐される
●最近、日本や韓国やNZ-Landの国防省と協議を開始した。同時に英や豪とも継続的に、全分野でのサイバー相互運用性について緊密に進めている
●サイバー空間は国防協力関係が極めて重要な分野である。サイバー空間での軍備管理は成立しない。何を相互監視して良いのか分からないし、サイバー兵器や装備に関して何を検証すれば良いのか分からない。この点はロシアの専門家も指摘していた。
●それでも、我々はサイバー空間における規範を作らなければならない。他のドメインで武力紛争法に当たるものが、サイバー空間にも求められるのだ
サイバーコマンドのコックス情報部長は
●他国とのサイバー空間に関する情報共有が不可欠である。しかし自国の安全保障任務を行いつつこれを成し遂げるのは大変難しい
●我々はサイバー空間における軍拡競争を目の当たりにしているが、それは比較級数的に加速している
●この差し迫った脅威を前に、私の上司と他国のボスは事態の緊急性に急いで取り組むことが出来ている。この関係は長年の国際パートナーである英豪カナダNZ-landとは比較的容易である
●しかしそのほかの国となると、極めて難しくなる。一つの障害は関連情報の秘匿度の高さにある。それら情報は厳格な規則で他国との共有範囲が制限されているからだ。
●それでも我々が多数の国と協力しなければ、現在の脅威環境を改善することは出来ない
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「一つの障害は関連情報の秘匿度の高さにある。それら情報は厳格な規則で他国との共有範囲が制限されているから・・・」 この種の情報共有が英豪カナダNZとは比較的容易で、日本や韓国とは難しいとの極めて率直な言及です。国防省や米軍のしかるべき立場の幹部発言だけに、「本音」として興味深いところです。
スパイ防止法や情報漏洩に対する罰則の不明確さが背景の一つでしょうが、アングロサクソンとその他の人種の壁も感じざるを得ません。韓国の場合は、北の浸食が背景にあるのでしょうが・・。
原文は「One of the impediments is the high-level classification of the information, which has very strict rules on how you can share this with foreign governments」でした。
「サイバーを様々な視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-25
「サイバーと宇宙を空軍大将が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-24-1
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02