兵士はリスクを取り議会は逃げる

usspele2.jpg29日と30日、パネッタ国防長官は異なる2つの場で、兵士及び一般国民に向けて議会の機能不全を非難し、リスクを冒している兵士を見習って議員もリスクを取れ、と訴えています。
パネッタ長官の不満は、このまま放置すれば2013年1月に開始される追加予算強制削減(Sequestration)の阻止に、議会が全く動かないことに向けられています。
これまで国防省は新たな国防戦略を策定し、今後10年で約$480 billion削減する計画をまとめていますが、強制削減が実行されれば更に別枠で$500 billion削減が課されることになります。
29日アイゼンハワー賞授賞式で
公的分野での優れた指導力発揮を讃える民間団体の賞)
●アイゼンハワー大統領の言葉、「経済状況にかかわらず軍事力を蓄積しておくことで、他者の侵略を招く惨事から我が身を守るのだ」に私は賛同する。新国防戦略は、小ぶりでも機敏で技術的に先進の軍を育成し、いつ如何なる場所でも侵略に対峙するモノである。
●この戦略策定過程にあたって、我々は幾多の困難な取捨選択を迫られ、長期的な利益を近視眼的な政治的圧力より優先して決断してきた。
eisenhower.jpg●私の公的勤務の経験から、政治とは物事を進めるために人々をまとめることである。ただ議場に座って何もしないことではない
●国防長官として私が懸念しているのは、ワシントンDCの機能不全である。これにより我が安全保障が危機にさらされ、民主主義の能力が試されている。機能不全は政治的言い訳であって、米国精神とは相容れない。
議会が国防省と協議し、戦略を実行することを希望する第2次大戦世代の犠牲や貢献により、我々全ての生活が保たれているように、一世代の努力が全てを救うことがあるのだ。
30日強襲揚陸艦Peleliu艦内で
議会は馬鹿なことをやっている。彼らは、財政赤字削減プランを持って来い、さもなければ彼らや国家の頭を打ち抜くぞと言って銃口を向けている。
●もし強制削減が実行されれば、全ての分野が削減され、将来の国防体制を弱体化させると断言できる。
USS Peleliu.jpg●強制削減発動が如何に無責任なことであるか、私は如何なる手段を用いても議会に語りかける。私は議会に強制削減を阻止する力や勇気が残っているかを心配している。
●私はこのように議会に伝えている。前線の我が国兵士は、その命を危険にさらして国の安全を守っているのだ、議会のあなたたちも国のために問題を解決するべく、少しはリスクを取るべきである
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前線兵士の前で、議会の悪口をこれだけ言えれば大したものです。
それにしても、日増しにパネッタ長官のいらいらも積もっているようです。でも基本的に策士ですから、ある程度予定されたステップを踏んでいるのかも知れません。
しかし、強制削減はなかなか避けがたいようなので更なる米軍の弱体化を織り込み始めなければならないのかも知れません
「強制削減検討は夏から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01
「合意に至らず!強制自動削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22
「追加予算削減の致死的影響」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16
「リーダーは困難な決断を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「敵に財政負担を強いる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03

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