下の記事で取り上げた「Cyber Vision 2025」は、2012年12月13日に承認され、2013年3月27日に公表されました。
→http://www.af.mil/news/story.asp?id=123341931
短期、中期、長期の各視点で到達目標を提言した模様です。
また、装備品もライフサイクルを通じてサイバーの観点から管理すべき等の指摘や、空軍の各所に分散しているサイバー関連組織の一体化も提言しています
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約2ヶ月前に2回にわたりご紹介した空軍協会主催のサイバー戦会議(AFA’s Cyber Futures Conference)での各種講演ですが、3たび取り上げます。
3月21日からワシントンDC郊外で実施されていた会議ですが、本日は3月23日のスピーカーを取り上げます(3月26日付Daily-Newsより)
James米空軍IDR部長
●2025年までを見据えた空軍内のサイバー関連研究によれば、米空軍はISRデータ処理容量不足に直面している。無人機や各種センサーから収集されるデータ量はうなぎ登りで、RANDの研究によれば、2016年までに、空軍はデータ処理のために10万人以上の分析官を必要とする
●これは達成不可能な人数であり、我々は代替手段を考えねばならない。機械にこれをやらせるしかないのだ
米空軍首席科学研究員- Mark Maybury
●2004年には、米国は年間約2万人のコンピュータ科学者を養成していたが、2011年にはその半分の1万人に減少している。この数には外国人も含まれているから、我々が活用できる可能性の人材はより少なく、その人材を企業等と争っている状況にある
●サイバー攻撃やウイルスの数は急増しており、セキュリティー企業も全てをフォローしていない。余りにも数が多いのでカウントもしていない状況になっている
●要するに、攻撃側は体制を産業化近代化しているのに対し、防御側は依然小さな街の商店レベルなのである。我々は変わらなければならない
●空軍は、2025年までを見据えたサイバー政策を「Cyber Vision 2025」としてまとめ、本年7月までに初度報告を上層部に行う予定である
●これは科学技術分野のレポートではなく、政策、調達、アクセス、ドクトリン等までを含むモノで、産業界や学会、更には他国からのインプットも含むモノである。
●その検討は、限られた予算で空軍がどの分野をリードし、どの分野は単に投資を増やすのみか、また企業に任せるか等々に言及するモノである。また「変わる事なき原則事項」を見いだす作業でもある
第24空軍女性将軍司令官
「サイバー戦の指揮も女性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-06
(24空軍は空軍のサイバー専門部隊)
●軍需産業関係者には、軍装備品を設計する際にサイバー戦対処を織り込んで置くようお願いしたい。そうしないと典型的なDOS攻撃や重要情報の漏洩に繋がりかねない
●当初から設計に盛り込まないといけない。病院のガウンに例えるなら、身体の正面を隠していても、背中が露出するようなデザインのガウンではだめなのだ
●サイバー防御では、proactive(事前対策・積極措置)防御に取り組まなければならない。フットボールのクォーターバックが、試合前に相手の試合のビデオを何回も見て研究するようにである
●事前に過去のデータを見返す事により、相手のセットアップのパターンを学び、ボールがリリースされる前に相手の動きを予測できるのと同じである。
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「industrialized」され、カウントできないほどの攻撃を繰り出す敵に直面するサイバードメイン。
しかも対処に要する人材確保が困難になりつつあるサイバードメイン。
7月までに作成される「Cyber Vision 2025」は、後に公開版も作成されるようなので期待しましょう。
「サイバーの多様な課題と視点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-25
「サイバーと宇宙を空軍大将が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-24-1
「中国がネットの15%を乗取り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-17
「前サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02