14日付「Defense Tech」が、小型スペースシャトルのような・・・とご紹介してきた米空軍のX-37Bに酷似した、中国の「Shenlong:神竜」再利用可能宇宙船の試験成功を伝え、中国の軍事技術開発が米国との差を急激に縮めていると伝えています。
この「Defense Tech」記事は、お馴染み米海軍大学のAndrew Erickson準教授のサイトから引用したモノです。
米空軍のX-37Bは、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、宇宙空間に軌道を自在に変えながら1年以上滞在し、いろいろな試験や監視任務を行っているらしい言われる「謎の」宇宙船で、現在2回目の宇宙飛行を継続中だったと思います。
中国版(X-37Bに形がそっくり。サイバー窃盗の賜物と推測)はX-37B以上に不明な部分が多いようですが、中国各種メディアが昨年1月8日に試験飛行を終了したと報じているようです。
「X-37BをSシャトルの代替に?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
中国の開発速度が加速
●米国の試作品作成時期と中国版作成時期の時間的差
—4世代戦闘機 →26年
—対衛星兵器 →22年
—対地巡航ミサイル→21年
—5世代戦闘機 →21年
—原子力潜水艦 →16年
—X-37B型宇宙船 →わずか1年
中国版X-37Bの意義
●1つ目→中国の宇宙開発能力が再利用可能な宇宙船開発レベルに近づきつつある。これには宇宙アセットへの指揮統制能力のレベルをも示唆するモノ。ただ、中国のどの部署が管轄しているかが不明。空軍か第2砲兵か、又は宇宙軍の新設か。空軍の文献に宇宙船への言及が出始めているらしいが
●2つ目→再利用可能だからといって、従来のロケット打ち上げよりコスト面で優れているとは言い難い(スペースシャトルの例有り)。しかし中国が更なるオプションを手に入れることになる。仮に中国版も軌道を柔軟に変更できれば、機体や機体から分離する小型衛星で指揮通信の強化や代替、敵衛星の追跡や破壊まで可能になるかも知れない
●3つ目→多くの中国関係者がX-37Bを米国の対衛星兵器と考えており、中国がこの分野に対抗して乗り出してきたモノと見るべき
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中国版X-37Bの能力が不明確な段階でコメントするのは難しいですが、中国版試作品登場の時期が早まっているのは確かでしょう。サイバー分野では米を既に凌駕しているのかも知れません
もう一つ、Andrew Erickson準教授は自身のサイトで、中国語の軍事文献の読み込みが、人と金の投資が増加し、米国内で加速的に進みつつあると述べています。この件はYoshihawa博士も指摘しており、中国軍の動向研究が足下の確かなモノへと固まりつつある様子が窺えます。
つまり、米国がほとんど気に掛けていないJ-20や空母の脅威に頼っている日本の防衛予算要求は、近々壁にぶち当たることになるでしょう。
「中国軍の脅威を誤解するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-28
「中国空母艦載機J-15の評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-26-1
「Toshi Yoshihara博士の来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29