9年ぶりに中国国防相として訪米中の梁光烈(Gen. Liang Guanglie)国防相が、7日パネッタ国防長官とペンタゴンで会談し、記者会見に臨んでいます。←梁光烈将軍は余裕の入場です!
しかし・・・中国の国防相が「2人並んで」会見に応じたのを初めて見ました。中国も少しは柔軟にメディア対応する方向に変わってきたのでしょうか。又は新華社がタイムズスクウェアに立派なオフィスと広告を設けたのと同じで、堂々と自己主張を開始したのでしょうか・・・。
なおこの記事は、米国防省webサイト掲載記事の概要です。従って米国防省が伝えたい内容で構成されていると思います。
本件については、本記事アップ時点で既に多数報道されていることと思いますので、日本メディアの報道ぶりや他の視点からの報道と対比してご覧下さい。
会見でパネッタ長官は・・
●米国と中国は共に「Pacific powers」である。そして両国関係は世界で最も重要な関係の一つである。私は梁光烈将軍に、両国軍事関係が健全で安定し、信頼でき継続的であるよう私が関与していくとお話しした
●私は今後数ヶ月以内に中国を訪問する
●我々はアジア太平洋地域と更にその地域を越えて利害を共有している。両国は幾つかの領域、つまり人道支援、大量破壊兵器拡散防止、麻薬取り締まり、海賊対処等々でで共に協力してきており、今後も協力が拡大すると考えている。
●ご存じのように米国は最近、新国防戦略を発表し、アジア太平洋地域ほど両国の平和と繁栄にとって重要な地域はないとの認識を示した所である
●中国は3年にわたり、アデン湾での海賊対処に貢献しており、紅海からインド洋にかけての通商ルートの安全に大きく寄与している。
●また梁光烈・国防相はASEANにおいて、人道支援と災害対処討議チームの共同議長として尽力いただいており感謝したい
●北朝鮮問題や他の話題についても議論し、海洋安全、サイバー問題、ミサイル防衛、核拡散問題についても討議し、今後も協力と対話が必要だと確認した
●米国と中国は、全ての分野において合意しているわけではないことも確認した。しかし我々は、両国の軍事対話が危機に繋がる誤解や誤認を避けるために重要であること信じている
●肯定的で協力的で包括的な両国関係は、アジア太平洋地域の安全確保、更に安全な両国の将来のために必要不可欠である。
梁光烈・国防相は・・・
●今回の訪問の目的は、中国首席とオバマ大統領の間で合意された中米間の国対国、軍対軍の関係を発展させるとの約束を実行するためである
●両国は合意に基づき、「defense consultative talks」、「defense policy coordination talks」、「Military Maritime Consultative Agreement」、及び軍事ホットライン(北京DC間)を良く活用していく
●両国関係は今、新たなスタートラインに立っており、公平で相互利益となる協力を基本に新たな軍事関係を構築していく
両国防相は共に・・
●安全保障分野での両国の協力は互いの利益であり、本年、災害復旧及び海賊対処の共同訓練を実施する
サイバー戦する記者質問に対し・・・
梁光烈将軍はサイバー攻撃疑惑に・・
●(熱心に積極的に質問に答え)我々は会談の中でサイバー問題も話し合った。私はこの問題に昨年のシャングリラ・ダイアログやASEAN国防相会議でも答えている。また本件は、本年の中米戦略安全保障対話でも議論している
「梁光烈シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
●私は、米国を目標にしたサイバー攻撃が中国から行われているとの指摘にほとんど同意できない(通訳:can hardly agree)。パネッタ長官も会談で、米国へのサイバー攻撃全てが中国からのモノではないことに同意してくれた
●サイバー攻撃は全ての国にとって重要な問題である。従って、全ての国が本件を重要視することは正しいと信じる
●細部までは話しておらず、専門家にゆだねることにしたが、中国と米国が共同でサイバーセキュルティーを高める何かが出来るのではと話し合った
パネッタ長官は梁将軍の発言に
●梁将軍がサイバー問題について率直に話し合いに応じてくれたことを讃えたい
●米中両国は共にサイバー分野で先進技術を確立している。また米中両国へのサイバー攻撃に第3国が関与し、他国にもハッカーがいることには同意する
●中国と米国が共同でサイバーセキュルティーを高めるアプローチを行う検討について、梁将軍が前向きであったことに感謝する。
今後、梁光烈・国防相は訪米中に
●マイアミの中南米担当の南部コマンドを訪問し、同コマンドの重要任務である災害対処、麻薬対処等の非伝統的な安全保障分野について意見交換する
●次にノースカロライナ州の海兵隊部隊を訪問、上級下士官達と交流を図る
●また陸軍のFort Benningキャンプや空軍のSeymour Johnson基地、陸軍士官学校では士官候補生と共に昼食をとる予定
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中国側から「歴史上の新たなスタートライン」とか「新たな軍事関係」との表現が飛び出しました。本年実施予定と発表された、「災害復旧及び海賊対処の共同訓練」のことを指すのでしょうか?
それにしても対話の枠組みがありすぎです・・。区別が付かないので原文のまま列挙しました。あしからず。
それから・・・まんぐーすが待ちこがれた美人通訳は姿を見せず・・本日は・・
米国防省Web記事 と 会見トランスクリプト
「パネッタ長官のアジアツアー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
「マレン議長訪中と美人通訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12
「中国軍トップ訪米と美人通訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1