4月20日、米空軍のF-22が6機(Holloman AFB, New Mexico所属)が、UAEアブダビ近郊のAl Dhafra空軍基地に飛来しました。
イランと相対するUAE基地への展開だけに、ネット上でかなりの騒ぎになりましたが、4月30日付「Defense Tech」がとりあえずの分析(訓練だろう)を掲載していますのでご紹介します
訓練との推測根拠は・・
●展開した6機の機体番号から、6機全てがBlock 30である。つまり、最新のBlock 31型が装備する空対地攻撃能力(SARレーダーmappingとGBU-39 SDB搭載)が付与されていない
●経由地のスペインに昼間到着し、4日間も滞在して人目に触れて機体番号が確認されるほど普通に行動している。実作戦ならば夜間隠密行動をとるはず。
●UAEのAl Dhafra空軍基地には、既にF-15C(空対空戦闘機)も展開しており、空軍報道官の言う地域諸国空軍との1年前から計画されている共同訓練のためとの説明と合致する。
●なおここ数年、同基地のGulf Air Warfare Centerを使用し、多国籍の空対空戦闘訓練が実施されている実績もある。
ただし想像を逞しくすれば
●Block 30型のF-22でも、B-2爆撃機のエスコートは十分可能である
●空軍報道官は、単なる演習の為の展開と説明するも、同時に「F-22が備えた次世代の高い能力を持ってすれば、展開機数に関係なく、展開は重大significantな意味を持つ」とも語っている。
●F-22は、原因不明の「操縦者に低酸素症もどき頻発」トラブル対策が現在も進行中で、最新Block 31型のトラブル対策が完了しておらず、長距離の展開が困難なのかも知れない。(実際、対リビア作戦にF-22は参加せず、各種憶測を喚んだ)
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慎重な岡崎久彦氏が、最近イスラエルがイラン攻撃は「数カ月内で、1年先ではない」と述べている・・とストレートに言及しており、イラン情勢はかなり煮詰まっているようですが、今時のF-22展開は関係なさそうです。たぶん・・。
なお、当然ながら、イラン国防相は国営メディアで30日、F-22の展開を地域情勢を悪化させる動きだ、と語っています。
ちなみに6機の機体番号は
#04–4078, #04–4081, #05–4093, #05–4094, #05–4098, #05–4099
お好きな方は是非突っ込んでみて下さい。
「イラン核施設の完全破壊困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02
「F-22再度飛行停止と再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31
「なぜF-22はリビアで飛ばない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05-1
「前半湾岸諸国空軍との協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-10
「後半湾岸諸国空軍との協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-10-1