週刊東洋経済2012年6月30日号が、表題の記事を掲載しています。
ここでの植物工場とは、光や水、温度を管理した屋内施設で無農薬の野菜を育てる「工場」ですが、このビジネスへの企業参入が相次いでいる模様です。
果たしてその実態は???
「植物工場」の現状
●全国で稼働中の植物工場の数は、2009年には約50カ所だったが、12年3月末には127カ所まで増加した。そのうち100カ所超が密閉された空間で人工光を当てて栽培する完全人工光型。残りは太陽光を併用するタイプ
●工場が急増したきっかけは、農水省と経産省が総額150億円の補助金を出し建設を促したことが大きい。さらに大震災後、津波の塩害や放射能汚染等の中で被災地の復興の手だてとして、「工場」に注目が。
●4月に大和ハウス工業が、レタスなど葉菜類を水耕栽培できる植物工場ユニットを発売したほか、日本GEやパナソニックは、工場の開発・設計を行うみらいと組んで、栽培の実証実験を始める。食品メーカーや外食チェーンなども植物工場の運営に興味を示す。
●植物工場は設備を買えば始められるうえ、飲食店内で栽培可能な小型もあるため、異業種から参入容易
●ただし、生産コストは露地物より高い。工場産レタスは1kg1100~1500円(露地物は300~600円)。露地物に比べて電気や空調代などがかさみ、一定品質を効率よく大量生産する技術が未確立なため
●照明の位置で野菜にバラツキが。最適な大きさを定期的に収穫するには、生育環境や品種の特性などを考え、栽培に適した環境やノウハウを見つける必要。
●みらいの社長は、「温度や二酸化炭素など、さまざまな要素の組み合わせによって、生育速度や野菜の重量が変わってくる。ハード以上に、ソフトが重要」と言う。
●工場の設計、販売や運営サポートを手掛けるリバネスの開発事業部部長も「我々もノウハウを作っている段階。顧客に完全なノウハウを伝えることは難しい」と
外食チェーンも本腰参入
●参入する外食企業は今のところ、実験や企業の宣伝と位置づけて取り組んでいるところが多い。
●日本サブウェイは2010年に、補助金を受けて東京・丸の内に植物工場を併設した店舗「野菜ラボ」を出店。「店産店消」というコンセプトで、店中央に小型植物工場ユニットを設置し、フリルレタスを育成。店舗使用量のわずか3~5%程度の生産で採算は到底合わないが、「野菜への関心をアピールしたい」
●本腰を入れて取り組む企業も。「北海道」などの居酒屋チェーンを展開するコロワイドは、2億円を投じて子会社の神奈川工場に植物工場(敷地346平方m)を設置。6月1日から稼働。 目的は、野菜の仕入れ価格の安定。
●今後は収穫量を増やし、「流通コスト込みで、数年のうちに露地物と同じぐらいの価格まで持っていきたい」(井上社長)と意気込む。
●みらいでは、収穫量を上げることによって1キロ当たり700円まで価格を下げることに成功している。が、それでも露地物より高い。
●対抗するために植物工場の規模をさらに拡大しようとすれば、投資負担は重くなる。参入障壁が低いだけに激しい競争も予想
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記事が事例紹介している「初期投資500万円の植物工場モデルケース」は、
(サブウェイが導入した店舗内設置ユニットのイメージ)
●初期投資500万円の内訳は、本体設備350万円と設計工事や初期ノウハウ経費が150万円
●その他運営経費は月額45000円。内訳は電気代15000円、肥料水費用5000~15000円、人件費4000円(時給1000円で30分作業を週2回)
●これでフリルレタスが僅か月20株(可食部分が多い結球レタスではない)
味気ない気もしますが、中東の砂漠地帯や太陽や土地がタップリあるところで有効活用できたら良いですね。
「温故知新エコン族の生態」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02
「消費者調査の罠と嘘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-13
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