謎?米太平洋軍トップの中国訪問

LocklearChina.jpg11日付国防省Webサイトが6月25~29日の間に行われたロックリアー太平洋軍司令官の中国訪問を紹介しています。
この中国訪問は太平洋軍司令官としては4年ぶりで、最近の中国との軍事交流改善を象徴しています。左写真のように、司令官は軍事科学研究院を訪問して講演まで行い、米国の立場を説明しています。
訪中間、ロックリアー大将は中国の国防大臣に当たる梁光烈(Gen. Liang Guanglie)大将や対外政策を取り仕切る馬暁天(Gen. Ma Xiaotian)副参謀総長やと会談したほか、中国外務省を訪問して担当官僚のトップと協議を行っています。
訪問先は北京と杭州と桂林で、北京はともかく広州(香港近く)と桂林(奇岩景勝地)での行動については米国防省記事は全く触れていません。
LocklearChinaFMDG.jpg公開された写真は中国軍事科学院(China Academy of Military Science)で講演する様子と中国外務省で事務次官と握手する場面だけで、部隊訪問や梁光烈等軍人高官との対面写真は全くありません。
4年ぶりで上向きな雰囲気の米中軍事交流の中にあって、何か腑に落ちない情報公開ぶりです・・・。
また、この訪問は以前から計画され、具体的日程をのぞき同大将も公言していたモノですが、なぜ訪問から2週間も経過後に、国防省webサイト(太平洋軍サイトも)が取り上げたのでしょうか???
邪推1→ASEAN外相会合やARF(中国も参加)での議論を刺激しないよう、訪問記事の掲載を遅らせた
邪推2→同ASEAN関連会議を前に、中国の国内世論を刺激しないよう配慮した
邪推3→日本政府が尖閣諸島関連で中国に強気の態度を示す動きを見せていることから、牽制のため、米国が中国に配慮していることを強調するため
司令官の訪問レビュー会見は坦々と・・
Locklear5.jpg●米国の新国防戦略ではアジア太平洋地域重視を打ち出しているが、中国を封じ込めようとの意図は全くない。同盟国やパートナー国と共に、皆に好ましい安全保障環境を提供しようとするモノ
●中国は新たな安保環境にどう関与していくかの選択に直面しており、一方で米は同盟国等と共に中国とどう関わっていくかを決めなければならない。双方に責任がある
●両国間の肯定的な関係構築が重要だが、中国の軍事力増強やその同機については依然不透明なままである。この点は中国での講演でも明確に述べた
●米国も同盟国や周辺関係国も、誰も中国と紛争状態に入りたいとは考えていないし、意味のないことだと認識している
●南シナ海の領有権問題については、米国はいずれの国の側にも付かないが、争いのない平和的解決を強く希望している
●私と中国関係者は、双方の意見が食い違う部分があることを確認している。しかし、だからこそ双方が協議を続け、誤解や誤判断により誰も望まない方向に事態が進展することを避けなければならない
本ブログでは、現在の中国では、薄煕来事件等により中国国民の中国政府への信頼が「がた落ち」で、中国政府は対外的に強くにくい状態にあるとの仮説を持って議論しています。
具体的には、反日や反米感情を国民が持ち、学生がデモを計画したりすると、そのデモが反政府運動に変質する可能性が高いとの視点で状況を観察しています。
Locklear6.jpgそんな中国内の雰囲気を米国はどう見ているのか? 日本に対しどのような姿勢を期待するのか? この軍人による中国訪問の報道ぶりや尖閣国有化に対する米政府の反応も含め、しばらくは目が離せません。
まんぐーすは、ロックリアー太平洋軍司令官が公表される以外でも訪中しているのでは? と思います。国防省web記事でも「中国から帰ってきたばかり・・」と言った表現がありましたから・・・
何か飛び出すかも・・
「中国で反日デモが出来ない!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-09
「中国を名指し出来ない中で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-16
「対中を太平洋軍司令官が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-18

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