海兵隊司令官はF-35に満足!?

「F-35は順調に進んでいる。すべての試験飛行、現状と現在の方向性、将来の到達予想点の状況を注視しているが、計画通りか進んでいる。本当にうまく進んでいる」
AmosMarine.jpg23日付「DODBuzz」記事はエイモス海兵隊司令官(史上初のパイロット出身司令官)が、毎月1回行っていたF-35B(垂直離着陸型)の開発状況を確認する会議を、今後は四半期に一度にしたと報じています。
冒頭の言葉は、同記事を締めくくるエイモス司令官の言葉で、海兵隊ハリアー操縦者としてしての言葉です。
記事全体は、同司令官が「大満足」しているわけではなく、司令官が出来る範囲のことはやり尽くし、「時の流れに身を任せ」の心境になりつつあるとの書きぶりですが、F-35ファンの皆様にはGoodニュースかと思いましたのでご紹介します。
エイモス司令官のF-35Bへの取り組み
●2010年秋、司令官に就任するや否やエイモス大将は「海兵隊が所有権を主張する」と宣言し、その第一にF-35開発計画への所有権行使を行った。
F-35FrontB.jpg●同司令官は毎月1回、1ヵ月間の試験進捗状況やコスト上昇への懸念事項を確認する機会を設けた。しかし1年後の今、同司令官は同様の確認行為を3か月間に一度の頻度に下げることにした。
彼のF-35計画への懸念が減少したわけではないが、計画全体の複雑な概要が理解できたので毎月報告を受ける必要はないと司令官は語っている
昨年の段階では、私は自分でもっと関与しなければならないと感じていた。例えば、まだ操作可能な機体の余白と装備品搭載の議論や判断に、積極的に関与すべきと考えていた
特に機体重量について着目した。昨年5月段階では、最悪の環境下で垂直離着陸時の機体推力にわずか140ポンド以下の余裕しかなかったが、機体構造の隅々を確認して1ポンドづつ削減し、現在では300ポンドの余裕を確保できた。
●ロッキードマーティン社が立てた試験計画を司令官は詳細にモニターし続けた。そして本年8月8日、F-35Bは高度4200フィートを速度400ノットで飛行状態から、初めて大西洋上に1000ポンドGBU-32のJDAM投下に成功した。
エイモス司令官は「F-35は順調に進んでいる。すべての試験飛行、現状と現在の方向性、将来の到達予想点の状況を注視しているが、計画通りかやや進んでいる。本当にうまく進んでいる」と語った
「DODBuzz」のコメント
●エイモス司令官は、本年7月に米会計検査院(GAO)が公表したF-35計画に関するレポートには言及しなかった。そこに記されている「2007年当時の見積もりより、既に42%もコストが上昇している」等の指摘には何も言及しなかった
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米会計検査院によるF-35レポートには他にも絶望的な指摘が・・・
F-35transonic.jpg●試験飛行がわずか2割しか終了していないこと
●戦闘力の心臓部であるミッションシステムがわずか数パーセントしか完成していないこと
試験と本格生産を並行して実施してしまっており、試験終了までに300機以上が製造される予定になっている。試験中に発見された不具合是正のため、どれだけの機体にどれだけの改修経費が必要になるか全く不明
●現在判明している不具合対処のため、設計変更の経費だけでも数百億円にも上っている。
エイモス司令官就任の際は、「史上初のパイロット出身司令官」と言うことで海兵隊を変えてくれるかとの期待があったようですが、この記事だとそのあたりが見えませんが・・・。
「再度:米会計検査院F-35懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-17
「不沈F-35と低酸素F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「カナダ検査院国防省批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-04
「米会計検査院のF-35批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-21

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