8月1日、国防省の次官補代理2名が下院軍事委員会で証言し、アジア太平洋戦略を説明しました。これまでも紹介してきた内容ですが、端的に整理された形で米国防省webサイトが記事にしていますのでご紹介します。
なお、下院に登場したのはRobert Scher戦略計画担当国防次官補代理とDavid F. Helvey東アジア担当国防次官補代理です。
彼ら2名は下院軍事委員会で・・・
●パネッタ長官は、シャングリラダイアログで4つの原則事項を示している。国際規範の推奨、2国間や多国間関係の深化、米国の地域での永続的なプレゼンスの推進と適応、そして同地域での作戦に必要な能力への投資の4原則である
●アジア太平洋地域は、前例のない貿易と投資の機会を提供し、世界最大の成長経済である。同時に世界最大の人口と世界最大の軍事力が集積された地域でもある。
●一方で、南シナ海における航行の自由の問題、北朝鮮からの拡散防止の課題、中国の軍事活動透明性向上の課題がある地域である
●国防省は引き続きアジア太平洋地域において、地理的に分散し、作戦面で強靭で、政治的に持続可能な体制を目指している
●ただし戦力体制は、アジア太平洋戦力の「rebalancing」における一側面にすぎず、2国間関係を強化する外交努力や新興勢力国との協議関係の強化、多国間枠組みへの関与、貿易や投資の促進、民主主義や人権尊重の推進等とあわせて推進される
●アジア太平洋戦力の「rebalancing」達成には、同地域の同盟国等の軍事能力向上が必要である。また、現在と将来の当地域の脅威に対峙するには、米軍の前方展開とより強靭な軍事インフラにより、米国の戦力投射を支えることが求められる
●西太平洋の戦略的ハブとしてグアム島を強化するため、東南アジア・オセアニア・インド洋へのアクセス拡大と、同盟国を確たるものにする侵略抑止・撃退能力への投資を行っている
●また我々は、同盟国等の能力強化と相互運用性を高めるため、演習や訓練支援を拡大する。この同盟国等の能力向上は、アジアのみならず世界中での米国益を擁護することにつながる一番の施策である
●戦力配備の主要変更として、豪州への海兵隊と空軍部隊のローテーション配備や、シンガポールへのLCS(littoral combat ship)のローテーション配備を行う。
●これらは、国防省の考える変容する脅威対処や同盟国等の海洋安保能力の強化を支えるものでもある。
●海兵隊の再編計画は、同地域で海兵隊戦力のプレゼンスを維持し、複数の運用可能な海兵隊航空・地上戦力を確立し、同盟国等の能力を向上させる力や機会を増加させる計画である
●この計画はまた、沖縄での足跡を減らして政治的圧力を減少させるものであるが、一方で海兵隊のグアム移転にかかわる確固とした日本政府の経費支援を維持するものでもある。
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まんぐーすなりに解釈すると・・・
●中国の弾道・巡航ミサイル等の脅威から守るため、部隊は分散する。米国だけで対応するお金がないから、同盟国を鍛えたり軍事支出を促進して対中国の戦力に仕立て、米戦力はローテーション配備で負担や支出を削減したい。
●アジアは「金のなる木」地域だから、なるべく中国とは穏便に済ませたい。同時に中国抑止のため、複雑で多様なアジア諸国を米側に引き留めるため、2国間や多国間の多様なアプローチを活用する。
●それから・・・普天間米軍再編では、日本からしっかり金を取る。
「パネッタ長官シャングリラへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
「フロノイのアジア政策授業」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30
「マレン議長がアジア政策を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-27
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「対中国の日米同盟を提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-10