シルバー民主主義の暴走:少子化対策より年金

kyousei2.jpg「年長者や高齢者を大切に」との教えは、万国共通で宗教や民族を問わない普遍的真理だと考えてきましたが、少子化傾向はそんな人間の基本的教えを空しくさせる破壊的威力を持っているようです。
「年長者や高齢者」が大切にされる社会は、「若い世代のために」との思いが「年長者や高齢者」にある場合に成立するもので、「若い世代を踏み台にしても」との態度を「年長者や高齢者」が執れば、たちまち複数世代の「共生」社会は崩壊します
残念ながら、そんな風潮が広まりつつあるようです。本日は島澤諭氏による「WEDGE」5月16日付の記事から、高齢者の社会保障制度への考え方をご紹介します
負担が増加しても、老後の生活は公的年金のみで充足できるだけの水準を確保すべきか
—年齢が低いほど反対が多く、年齢が高くなるほど賛成が多い
重要と考える社会保障の分野は?
—年齢が高い世代ほど重要→「老後の所得保障(年金)」、「老人医療や介護」
—年齢が低い世代ほど重要→「少子化対策(子育て支援)」
●「給付維持・負担上昇」か「給付削減・負担維持」か?
Shimasawa2.jpg—全体としては、「給付削減・負担維持」にほぼ半数の支持
—しかし、年齢が上がるほど「給付維持・負担上昇」への支持が高まり、年金を受け取る直前の世代、いわゆる「団塊の世代」でその割合が最高に
※※※→内閣府の分析では、「団塊の世代」以上の年齢階層ではすでに年金を受け取っているため年金額が確定しているのに対し、「団塊の世代」は年金を受け取っていないため制度変更がなされると年金額が減額され、自分たちに不利になるから
社会保障財源としての消費税の目的税化の是非?
—「予想に反して」年齢が上がるほど目的税化への賛成度合いが高まる
※※※→内閣府は、消費税の目的税化により少々負担が増すにしても「目的税化によって社会保障の給付が確保されることの方が高齢者にとって望ましい」からと分析している
年金の給付水準について
—「給付水準をある程度引き下げるのがよい」と回答した割合は、40歳代、50歳代でもっとも少ない
—「保険料負担が大きく上回ることもやむを得ない」と回答した割合は40歳代以上で大幅に上昇
総合研究開発機構主任研究員・島澤諭氏はこれらアンケート調査結果を
Shimasawa.jpg●年金受給高齢者や受給直前予備軍は、他の世代に多くの負担を課してでも自らの老後の生活資金を確保する方が大切で、若者世代が望む子育て支援には冷淡な利己的な存在
●上記で紹介した調査の実施時期は多少異なるが、高齢世代の態度は一貫している
●政治の本質は異なる主体の利害調整を行うことにあるが、少子化・高齢化の進行下においては、世代間の利害調整という点で民主主義は失敗している
●現在進行中の日本の少子化・高齢化は、政治的な決定権を納税者=現役世代から、主に社会保障給付などの受益を享受するだけの高齢者=引退世代にバトンタッチさせてしまう
●このような現在顔を覗かせつつあるシルバー民主主義の暴走は、遅くとも2050年までには、全盛期を迎え、「高齢世代優遇政治」の暴走に直結する。
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kyousei.jpg若い世代は、政治や選挙に関心を持たないと、年金で悠々と暮らす老人に甘い汁を吸い尽くされてしまいます。
上記のような矛盾を正々堂々と主張し、世代間闘争を訴えて若者だけの得票を狙う候補者や政党は第一党にはなれないでしょうが、若者の票を確実にある程度は確保できると思います。
社会的には非常に「危うい」思想主張ですが、「高齢世代優遇政治の暴走」より良いでしょう。

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