18日、米空軍協会の一大イベント、航空宇宙会議に出席したウェルシュ空軍参謀総長は、居並ぶ世界の空軍関係者、OB、軍需産業関係者、現役主要高官の前で「初の本格スピーチ」(記事の表現)を行いました。
しかしそこでウェルシュ大将が強調したのは、空軍の米国内における苦しい立場でした。19日付AF-Magazine「Daily Report」より
国の理解と信頼を得るために
●米空軍は、国防関係者、議会、国家に対し、空軍が何を行い、なぜ空軍が重要なのかを上手に語っていない。我々が良い事を行っていても、誰も我々の行動を理解していない。
●空軍内で使われている「専門用語」や「業界スラング」や「ドクトリン」は変化し続け、空軍以外の社会の人々に理解されなくなっている。
●他の軍種のパートナーは空軍を頼りにしているが、空軍がどのようにして、どれだけ莫大な投資をしてその機能を維持しているかを適切に評価していない。
●航空優勢は一例である。それを失えば、他軍種は組織、作戦から採用に至るまで全てを変えなくてはいけないのに。
●空軍にとっての問題である。我々は我々の行動を語り伝えなくてはならない。空軍が他より重要なのではない、必要不可欠なのである。
●なぜ議会との間の信頼関係に問題があるのだろう。私の承認審議の場でもそうだった。私は空軍がすべてをうまく語っていない、又は省略して説明しているからだと思う
●私はそのようなことをさせない。ドンリー空軍長官に対しても(必要ならば)お願いする。
●議会との信頼関係をどのように再構築したらよいかについて、妙案はない。定期的に議員や関係スタッフに会い、彼らの考えを知り、意思疎通を継続的に図っていくことに尽きると思う。
●ここでも「専門用語」や「業界スラング」が問題になる。私だって空軍関係者の言葉がわからない。そして会話にそんな言葉が出てきても、ほとんどの場合、誰もその意味を確認しようとしないのだから。
なぜ空軍は「人」を重視するのか
●空軍の最重要課題として、空軍兵士のケアを掲げているのには理由がある。20年にも及ぶ戦いを経て、彼らは疲れているのだ。
●そして彼らを興奮させるような新装備品が今後5年から10年入手できないとすると、もし空軍が兵士のケアを怠り、敵対国よりも優れた装備品を与える努力を怠れば、彼らを失うことになる。
●彼らが必要な装備を与えられないと知れば、彼らは去るだろう。2級品を彼らは拒否するだろう。
●私は即応態勢の現状も懸念している。飛行時間もその一つである。飛行時間不足をシュミレーターで補完するにしても、シュミレータを購入できなければどうなるだろうか? 私は、我々が考えている程度の即応態勢にはないと思う。
予備役及び州空軍との関係
●(予算及び人員の削減について、現役、予備役、州空軍の間で激論が続いており、相互に非難しあう泥仕合の様相になっている件について)3社の間に緊張感があり、和解できない部分があるが、全体は分解はしない
●組織や人員規模に関する3者の議論で、誰も間違ってはいないし、皆がベストの仕事をしたいと考えているだけである。
●3者は目視範囲内に居る。3者のリーダーと協議し、早急に円滑な解決を図ることを約束する
性的襲撃(Sexual Assault)について
●激しい怒りを覚える。私にとって長期間にわたり最上級の悩みである。これは恐るべき犯罪で、当人だけでなく、家族、友人、組織全体を襲う犯罪である。
●わが軍の兵士を、わが無人機プレデターの攻撃から守れないような話である。今年に入り600件の同種犯罪が米空軍で発生している。
●我々の対策方向は正しい。被害者が初期の段階から適切に扱われ、事案発生後はあらゆる手段を動員して適切な処置が行われなければならない。受け入れ難い状況であり、取り組みを決して止めない。
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米空軍は理解されていない・・・悲痛な叫びです。しかし、ワシントンDCにはそのような雰囲気があるのかもしれません。
空中給油機のゴタゴタ選定の後にも、プロペラ攻撃機選定の企業クレームによるやり直し、基地閉鎖要求とずさんな経費削減見積もり、F-22操縦者によるTVでの「空軍に不信感」発言、更に現役、予備役と州兵を交えた三つ巴のお家騒動・・・そしてF-35問題等々・・・課題山積です。
しかし・・・レイプ事案が今年だけで600件とは
予算の強制削減を巡る、議会へのアピールの側面もあるでしょうが・・・。
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我が空軍は理解を得られるでしょうか? 中国は尖閣などの島周辺の監視のため無人機導入を発表。中国が先んじて、我が国は無人機を研究だけして無視し続ける・・・。
我が国が高価な有人機を投入し続け、中国は安価な無人機で・・どう考えても説明できないし、理解は得られないでしょう。
「空軍用に海軍が電子戦機部隊を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
「エアパワーは有効か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-09-1
「欧州米軍の削減計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-20-1
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