新START条約と米核兵器の削減

Chambers.jpg米空軍参謀総長の戦略抑止・核戦力補佐官であるチャンバース少将が報道陣へのインタビューに答え、間接的にやんわりとオバマ政権の「核兵器なき世界」ビジョンに抵抗しています。
同時に、予算削減の中で核兵器がその槍玉にあがることに静かに強く反対の意を表明しています
10月18日付AF-Magazine Dairy-Reportより
チャンバース補佐官は・・・
B-52Guam.jpg●財政的制約により、仮に核戦力と他の軍事分野を比較してその価値が議論されるならば、核兵器という国家的抑止戦力の役割をよく認識した上で、戦略的視点から議論が行われることを望む
●核抑止戦力は、他の全ての軍事的能力を裏書し有効ならしめる役割を果たしている
我々が小さな地域紛争や低列度紛争をコントロール下に置けるのは、我々が抑止戦力が生み出す裏書された防御力をもって大規模紛争を押さえ込んでいるからである
●米空軍が保有する核戦力が要する予算はICBMで空軍予算全体の僅か1%、爆撃機でも2%強に過ぎないのだ。
更にチャンバース少将は新STARTについて
●チャンバース少将は、新START条約の履行期限である2018年2月よりも若干早く、2017年の秋頃には米国はその削減レベルに到達するだろう、と述べた
MinutemanIII.jpg新START条約の上限制限は・・
—1,550 deployed nuclear warheads
—700 deployed launchers(ICBM、SLBM、戦略爆撃機数)
—800 deployed/non-deployed launchers
米軍の条約に応じた予定数(現時点の空軍計画)は・・・
—約60機のdeployable核爆撃機
—上限420発のdeployedミニットマン・ミサイル
—約240発のSLBM
●チャンバース少将は「ホワイトハウスは最終的な核戦力構成をまだ決定していないが、米空軍の爆撃機とICBM体制案はすでに提出している。2015年度予算案に反映させて条約の期限に間に合わせるには、来年の春か初夏までには決断してもらう必要がある」と語った
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中途半端な記事で申し訳ありませんが、核兵器の管理は米軍にとって大きな負担になりつつあります。前空軍参謀総長が「忘れ去られていた兵器」と自虐的に語ったほど、兵器の維持、関連施設、担当兵士の処遇等々がないがしろにされてきた分野で、今になって建て直しをどうするかが大きな課題になっていますす。
Minuteman-III.jpg核兵器を!と叫んで大吟醸飲んで盛り上がっている老人は、今の時代の若者のことを考えているわけではありません。300年ぐらい先の夢を語っているのかもしれません。
この時代に、核戦力を維持することは大変なことです。ロシアなんかはどうなっていることか・・・みんな昼間からウォッカ飲んでるような連中かもしれませんね。
極めて使用可能性が低い兵器の維持管理や運用を自分が担ったらどうなるかを考えてみてください。普通の人間には耐えがたい士気を維持するのが困難な仕事です。周囲の目とかも・・・
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29
「米軍核戦力は大丈夫か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-28-1
「START条約:露の動きを見極め」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-22
「脅威の変化を語らせて」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
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