米軍が中国軍と兵站協力合意へ

「地殻変動のようだ(米中軍事関係の進展が)」(マクリード准将)
GenLiangGuanglie3.jpg米太平洋軍のJ-4、つまり兵站分門の部長が明らかにしたところによると、米軍と中国軍が兵站補給支援の協力合意に向けた協議を加速するようです。
詳細は不明ながら、両国軍が共に活動するであろう海賊対処、人道思案や災害対処において、燃料、食料から船の部品までを融通しあえるような合意(arrangement)を目指しているようです
米国防省web記事が何度も「groundbreaking」なと表現する合意締結に向け、2013年初頭に中国からの代表団がワシントンを訪問するようです。
日中が尖閣問題で揉めているこの時期、絶好のタイミングと見た中国は、米中接近の軍事的アプローチを開始しました。
12日付国防省web記事は・・・
McleadJ4.jpg米太平洋軍のマクレオッド空軍准将(Director for Logistics, Engineering and Security Assistance, J-4)は、中国軍側と地殻変動的な関係発展に通じる兵站物資協力の議論に入ると語った
●米国は、中国軍の兵站専門家チームを公式に2013年初頭にワシントンに招待する旨を中国側に伝えた。もし両国が合意すれば、燃料、食料、補給物品から船舶部品に渡る兵站物資を両国が共同作戦のために融通しあうことになる
●同准将によると、このアイディアは9月に豪のパースで開催された第41回のPASOLS(Pacific Area Senior Officer Logistics Seminar)で持ち上がった。同セミナーはアジア太平洋地域の軍幹部が参加する毎年開催のセミナーで、多国間やバイの意見交換が行われるもの
●同セミナーに中国軍からはYang Jianyong海軍中将が参加しており、米側の提案に対し「将来の議論と協力の分野としてよいエリアである」との反応を示した。同様の提案は過去にも行われてきたが、米中関係のごたごたにより実を結ばなかった
China-Navy.jpg●マクリード准将は、米中両国が協力関係強化を目指している中、良いタイミングで話が進んでおり、パネッタ長官やロックリア太平洋軍司令官が中国を最近訪問して関係強化を促していた方向とも合致する、と語った。
●同准将は想定されている兵站協力合意を、米中安全保障戦略をサポートする他の軍事協力分野の偉大な基礎となるものだ、と表現した。また少なくとも兵站分野においては史上初めて中国側が受け入れ姿勢で応じた提案である、と説明した
●更に同准将は、この進展は地域の国々が災害や緊急事態に兵站協力を行って効果的に対応するための重要な足跡である、とも表現し更に、PASOLSセミナーでの(中国と協力関係構築の足がかりが出来た)教訓をASEAN諸国や他の地域組織とも共有したい、と語った
●多くの地域国が遠方での兵站問題を抱えており、このような国家間の兵站協力枠組みはこの問題の行き詰まりを解決してくれるだろうし、台風や他の自然災害時にも重要な役割を果たすだろう、と同准将は説明した
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お写真から人柄の良さがにじみ出ているマクレオッド准将(Mark M. McLeod)ですが、「groundbreaking」なチャンスをつかんだことに対する手放しの喜びようが心配になります
本年のPASOLSは9月9日から12日まで開催されていたようで、28カ国から100人以上が参加したようです。
ChinaGenChenBingde.jpg日本からも参加しているようなので、このあたりの動きは政府として掌握済みでしょうが、「敵ながらあっぱれ」な身のこなしです。
来年までは時間があるので、協議に応じる姿勢を示すだけでも米国をぐっと引き寄せ、慎重な姿勢を引き出すことも可能でしょう・・・
「米中軍事関係の重要性を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-24
「パネッタ長官2度目の訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19
「米中国防相会談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-08
「脅威の変化を語らせて」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
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