F-35で苦悩:デンマークの例

F-35hardpoints.jpg6日付「Defense News」がF-35に関連して苦悩するデンマークの様子を紹介しています。
デンマークは「レベル3」の共同開発国として当初から開発に関与していた国だそうで、既に200億円程度を投資しているようですが、開発の遅れや不透明な状況から最終的な機体調達契約には至っていません
それどころか国としての機種選定も一端中断し、正式には2013年に決定を遅らせている状況だそうです。また次期戦闘機の調達機数も当初予定の48機から、昨年段階では30機に、更に最近では22機程度にトーンダウンするような発言も関係者から出ている様です。22機は現時点の日本に近いですね・・。
そんな中デンマーク軍需産業界は・・
●デンマーク・エアロテックのヨルゲンセン社長は、現状でデンマーク軍需産業の参画程度が僅か100億円程度しか確約されておらず、国内軍需産業で分配すればピーナツを買うぐらいの金額にしかならない、と訴えている。
●議会国防委員会の議員は、ほんの3年前に政府は3600億円程度が国内軍需産業の分担部分だと説明していたのに、国の開発投資額約200億円を下回る少額でデンマーク政府が妥協することは許されない、と激怒している。
F-35Cformation.jpg●ヨルゲンセン社長は、同様のレベルの共同開発国であるノルウェーは政府主導で米国政府と強い姿勢で交渉に臨み、F-35にノルウェー産のミサイル搭載を同意させているのに、なぜデンマーク政府にはそれが出来ないのか、と怒りを露わにしている
●デンマーク与党はこれら軍需産業界の声を受け、議会国防委員会でこの問題を議論することにしている
●公式には、デンマークのF-35共同開発参加には機体購入義務は伴っておらず、延期されている機種選定にはF-35以外に、FA-18、グリペン、ユーロファイターが候補に挙がっている
●一方で専門家は、デンマーク政府にはF-35コネクションが見られ、軍需産業もその方向をサポートしている状況にあった、と現実を説明している
●機種選定が正式に終了しておらず、調達予定機数も当初予定の48機から昨年段階では30機に、更に最近では22機程度にトーンダウンしていることがデンマークの交渉力を弱くしていることは確かだが、ノルウェーは似たような状況で政府による長期の激しい交渉で自国軍需産業の利益を獲得している、と専門家は指摘している。
F-35transonic.jpgロッキード社の報道官は、デンマークは、追加購入国の参加もあり、継続的に利益を得ることが出来ると述べ、更にデンマークが大規模発注基準を満たすことを期待する、とも付け加えている。
デンマーク国防相は軍需産業に対し、より多くの契約獲得に向け努力していくのでしばらく待って欲しい、と声明を発している。
●一方でデンマーク軍需産業関係者は、米企業と対等な関係で進めるという当初の話だったのに、いつの間にか米企業中心になっており、我々はよそ者として扱われている、米国人の雇用のためには働かない、と訴えている。
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ノルウェーの強気の交渉は以下の記事でご紹介しました。
「韓国とノルウェーは強気」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20-1
dennmark.jpgデンマークという小国の悲哀でしょうが、日本は共同開発国でもなく、後から無理矢理入れてもらった弱みもあり、同様の悲哀を味わいむしり取られる事になるのでしょう。
その業務に当たる貴重な人材の事を考えると、その機会費用を考えると、「パブロフの犬」的な戦闘機購入路線を恨まざるを得ません。間もなく定年する無責任な高官による無知な決定と天下り逃亡を恨まざるを得ません。
「F-35企業との関係は最悪」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-18-1
「F-35が5世代機動試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-06-1
「F-35やっと地上で爆弾投下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-11
「米会計検査院のF-35批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-21
「カナダ検査院国防省批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-04
「脅威の変化を語らせて」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

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