サイバー演習場(NCR)が本格運用へ

CyberRange-NCR.jpgインターネットの起源は、米国防省の高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)が始めたネットワークの研究プロジェクトであるARPAnetであるといわれていますが、そのDARPAが開発した国家サイバー演習場(NCR:National Cyber Range)がテスト期間を終えて国防省に移管され、国防省と米軍はサイバー戦のテストや演習を本格的に実施可能になりました。
13日、DARPAが公式に発表したもので、移管先は正確に言うと、米国防省の開発試験・評価次官補代理の隷下にある「Test Resource Management Center」です。
「Range」には「演習場」との訳語を当てましたが、DARPAがイメージ写真として公開した冒頭の写真のように、ラックに収まった処理装置やサーバーの集合体のようなイメージのようです
これが凄い事なのか、どれほど効果のあるものなのかコメントできませんが、とりあえずご紹介まで・・
DARPAの発表によると・・・
NCR.jpgDARPAが開発したNCRのお陰で、サイバー研究者は新たなサイバー装備や能力を、実戦的に迅速に世界を結ぶネットワークを模擬した環境でテストできるようになった
●10月に国防省の「Test Resource Management Center」に移管されたNCRは、安全で独立した装置であり、複雑な国防や商用ネットワークを模擬して費用対効果の高いタイムリーなサイバー技術テストが実施できる
過去1年間、DARPAでは仮運用として7つの大規模なサイバー実験(演習)を国防省のためにNCRで実施してきたが、その最後の試験が今月終了した
●NCRの特長は、迅速に演習場を実際の環境に模した形で再構成でき、多様な秘密区分の複数のサイバー活動を同時にかつ柔軟に扱えることである
●実環境におけるサイバー技術の急速な進歩を見るに、短時間で試験環境を提供できることは極めて重要な要素である
●NCRは多様な使用法が考えられる。先進のサイバー研究、新たな能力の開発、ウイルスの分析、サイバー訓練・演習、クラウド環境の安全確保確認等々である
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リン前国防副長官は2010年に・・
cyberwar.jpg2008年、国防総省は軍事用機密コンピュータから大量の情報が盗みだされた。米軍のコンピュータ史上最大級の損害を与えた。
●(原因はウィルスに感染したドライブが中東の米軍基地でコンピュータに挿入されたこと)このサイバー攻撃への米軍の対抗策は「Operation Buckshot Yankee」と呼ばれた。この事件が米軍のサイバー防衛戦略のターニングポイントとなる
・・・とForeign Affairs(September/October 2010)のミニ論文で述べています。あれから2年、少しずつ進化してきたということでしょうか・・。
「FA誌でサイバー防衛宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-26
「最も攻撃を受けるコマンド」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-22
「パネッタ長官のサイバー講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-12
「軍需産業のサイバー対策強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13
「地域コマンドに権限を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-12-2
情報通信総合研究所の研究員による解説
→http://www.icr.co.jp/newsletter/global_perspective/2012/Gpre201246.html

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