米軍が豪に宇宙監視レーダー移設

AUSMC.jpg14日、豪州西海岸のパースで米豪外務・国防相会議(2+2)が開催され、クリントン米国務長官が両国関係を「アジア太平洋及び世界の繁栄と平和のアンカーであり、戦争で鍛えられ、平時に花開く同盟」と表現するなど、成功裏に終了したようです
「戦争で鍛えられ・・」の部分は、アフガンで共に特殊部隊が活動し、豪もかなりの犠牲者を出しつつ米軍と共同歩調を取っている点に言及したものです。
特に具体的成果で話題になったのが、宇宙空間の監視体制強化のため、米軍の宇宙レーダーや望遠鏡を他から豪州に移設し、南半球やアジアでの監視体制強化が合意された点です。
パネッタ長官は宇宙監視合意について
●現在宇宙監視のためカリブ海島国アンティグア(Antigua)の米空軍施設に配備している「C-Band ground-based radar system」を、2014年に豪州西部に移設する
AUSMC2.jpg●また両国は、米国防省の研究機関であるDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency)が設計製造した宇宙望遠鏡「advanced ground-based space surveillance telescope」を、豪州に移設する件についても議論した
●更に両国が広帯域の通信衛星にアクセス可能になるような通信施設の設置についても協議した
●配備されるレーダー等は、地球を周回する各国の衛星などを監視し、衛星やミサイルの発射も追跡する。
●これの合意や議論は、米国のアジア太平洋「リバランス」の新フロンティアである宇宙分野での協力において、飛躍的な前進が実現したことを示すものである
●既に両国間では、豪北部ダーウィンへの米海兵隊や米空軍機のローテーション派遣が成功を収めているが、この成功を更に発展させたいと考えている
C-Bandレーダーについて
●低高度軌道の宇宙物体を監視するレーダーで、1日に200個の物体を正確に追尾し、その軌道や危険性を判断するのに有効である。
●豪州に配備されれば、初の南半球配備となり、米国とその同盟国の宇宙監視網を格段に強化することが出来る。また同レーダーはアジアからのロケットやミサイル発射を追尾することが可能である
●当初は米国人が運用し、その後豪側に運用を引き継いでいく計画の模様。移設や運用開始までの経費は約24億円で、その後の運用経費は年8億円程度である
宇宙望遠鏡について
SST.jpg●DARPA開発の新宇宙望遠鏡は、従来のGEODSSに比して桁違いの能力を有し、広範な視野と小さな物体を遠方でも探知追尾でき、物体の写真撮影が可能である
●新望遠鏡SSTは2011年3月に観測試験を開始し、本年8月に試験と評価を終了した。
●SSTは現在ニューメキシコに設置されているが、豪州に移設することにより、静止軌道帯(?:geostationary satellite belt)に存在する多数の宇宙物体をカバーすることが可能になる
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宇宙監視の強化に関しては日米間でも、「日米協力イニシアティブ」で発表された宇宙状況監視(SSA)協力で、人工衛星等に対する固定式警戒管制レーダー(FPS-5)の探知及び追尾能力等の技術的な検証を行うことを予定です
「空自レーダーで宇宙監視?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-17
AUSMC3.jpg「the alliance・・・forged in war, but flourishing in peace
戦争形態は様々に変化を遂げていますが、「戦争は、威勢の良い宣言やファンファーレで始まり、泥水の中で終わる」とも言われるとおり、綺麗ごとでは済みません。
その中でこそ同盟が強化される・・つべこべ言っても正論です。
「空自レーダーで宇宙監視?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-17
「米海軍は日本から豪へ移動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「米豪関係のミニ分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-12-1

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