年末29日付AirForce-Times電子版によれば、米議会が米空軍に対し、無人機操縦者の昇任率(軍人の階級が上がる率)が低い理由の説明と改善策を180日以内に報告せよと求めたようです。
2013年度予算関連法案に付随させる形で法制化し、強制力を持つ要求になっています
AF-Times報道によれば・・・
●2007年以降の過去5回の昇任審査の結果、無人機操縦者の昇任率は有人機操縦者のそれよりも低い。5回の中で2回しか有人操縦者の比率を上回らなかった。
●有人操縦者はこの結果から無人機操縦への配置転換を拒んでいる。
●無人機操縦者は、急速に高まる無人機需要に応えるため長時間労働を強いられており、週6日間で40時間以上の飛行操縦に加え、飛行前後の準備ミーティングや訓練、事務作業等に追われている。
●このため、昇任に必要な要素とされる修士号の取得や軍内の士官教育コースへの入学チャンスを失っている。また、リーダーシップを発揮する業務に就く機会が不足していることも不利に働いていると不満を漏らす兵士もいる。
●本問題については、昨年9月に2名の上院議員が会計検査院に対し、メンタルヘルスや労働環境を含めた調査を求めたところである
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無人機操縦者の処遇問題は、空軍内の戦闘機パイロットを頂点とする「暗黙の階級制度」を揺るがせる問題です。
自身の身を危険にさらさない無人機操縦者が、有人機操縦者と似たような任務を果たすことで生じるプライド対立や心理的葛藤。つまり、「暗黙の階級制度」の中に、新たな「部族」をどう位置づけるかという問題です。
「5回の中で2回」が統計的に優位な数値とは思えませんが、さまざまな形で無人機側から「内部告発」があるのでしょう。先日ご紹介した空軍内の調査が示す「戦闘機パイロット文化への攻撃」が様々な形で表面化しているのかもしれません。
「異例衝撃:空軍トップの新年メール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04
「暗黙の階級制度」と言えば・・
40年前に経済学者レイヨンフーヴッド(Axel Leijonhufvud 1933年生)が発表し、その痛烈な批判精神と構成力と笑いで大きな話題を呼んだ論文「エコン族の生態:Life Among the Econ」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02