日本の家電業界が軒並み「負け犬」状態に陥りつつある今日この頃ですが、ソニーの元CEOでソニー凋落の元凶の一人だと最近批判を浴びている出井伸之・元CEOが、雑誌記事の中で表題のような主旨の発言をしています
なぜifhoneが出来なかったとか、サムスンに負けているとかの指摘に対し、日本の産業史への誤解や通信分野での規制をあげて背景を説明し、日本の企業には将来期待できると述べています
PRESIDENT:1月14日号(P38)より
●日本になぜアップルのジョブズのような人が生まれないかと言われるが、過去日本にはジョブスを上回る経営者が何人もいたと思う。
●ジョブズがアップルに呼び戻されたとき、同社は瀕死で新製品開発に必死だった。そこに優れた経営者が組み合わさってヒットの素地が出来たのだ
●更にインターネットという変革期の波を迎えた。アップルはPCでは勝てなかったが、ネットと通信機器を組み合わせたiPHONEで新しい利便性を生み出した
●技術があったのに、スマホでアップルや韓国に後れを取った件に関し、日本企業はイノベーションを生み出せていないとの批判もあるが、日本の産業史を誤解している
●トヨタが自動車を、ソニーがテレビを発明したわけではない。いずれも改善や改良で日本企業は成長してきたのである
●特に通信分野では、通信業者が政府によって保護され市場を独占し、メーカーに対し圧倒的優位に立っていた。新機能や細かな仕様まで通信事業者の言いなりだったメーカーに「独創的であれ」は酷な話だ
●だが時代は変わった。現在のような変革期には革新を起こす人物が現れやすい。特にITにおいてはユーザー視点から革新が生み出されることも多い。GoogleやLineはユーザーの視点発である
●既存の技術と社会的ニーズを組み合わせるのが今のイノベーションであるから、ユーザーに近い小さな企業から革新が生まれるチャンスが広がっている
●今の日本企業は第2、第3のジョブズを生み出す時期を迎えている。「がけっぷち企業」と「すぐれた経営者」の組み合わせから新しいものを生み出す時期に来ている
●ただ日本企業は、2つの組織に分ける必要がある。既存事業を行う組織と新しいことに注力する組織の2つにである。新たに新しい芽を育てる第2組織が必要だ
●経営者にも同じことが言える。日本の経営者には、リスクを取らず無難な経営で「会社の鎧」を脱がない人が多い。第2の人生ではもっと自由になってほしい。
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家電メーカー(ソニーを含む)を手厳しく批判する論調で溢れ返る中、出井氏の立場でコメントするのは勇気のいることだと思います。
出井氏の主張が、特に将来見通しに関しどこまで受け入れられるのか分かりませんが、家電メーカーを袋叩きする風潮には、人の世のいやな面を見る思いがしますので、あえて取り上げました。
「過去日本にはジョブスを上回る経営者が何人もいたと思う・・」そうだと思いますし、将来もそうだろうと、皆で盛り上がりたいです。