昨年4月と12月の北朝鮮ミサイル対処の際、米海軍イージス艦は日本よりも米本土防衛に重点を置いた配備だった
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4月号の文芸春秋が企画した日本の安全保障に関する討論会記事で、森本前防衛大臣が「かなり」突っ込んで語っています。
昨年末、政権交代に伴い退任した初の民間人防衛大臣が、安全保障研究者の立場で防衛省内部から見た日本の安全保障の「景色」を交えて議論に参加しています。「オブラート」に包まれつつも、興味深いためご紹介します。
記事になった討論の参加者は、とても「濃い」方々ばかりなので、「激論5時間」でつい口が滑らかになったのかもしれませんが、森本氏は最近かなり口が滑らかなようで・・・
森本前大臣の発言個所から抽出・・・
●(パネッタ前国防長官は、太平洋と大西洋の艦艇配備比率を、現在の5:5から、2020年までに太平洋6にすると言っているが、)結局、戦力削減の中での配分の問題にすぎない。「リバランス」や「アジア回帰」を掲げているが、中東とアジアで2正面作戦を行う余裕はない
●昨年4月と12月の北朝鮮ミサイル対処の際、米海軍イージス艦は日本よりも米本土防衛に重点を置いた配備だった
●米軍事費削減で米軍事力が相対的に低下する中、安倍政権の重要課題の一つは、米国をアジア太平洋に引き留めること
●米国は中国への対応で手いっぱいで、朝鮮半島に介入する考えは少なくとも現米国政権にはない。従って米国を頼って北朝鮮体制を動かすのは無理
●(一方で、)中国は北朝鮮と事を構える気は全くない
●金正日の棺を担いだ8名のうち、金正恩とその叔父以外は公職から姿を消した。金正恩は党を立て直すどころか、叔父と叔母しか頼れない状況。
●金正恩が軍幹部を入れ替えているのは、軍と言う確立された組織権力に依存せざるをえないから。
●(韓国が射程1500kmの巡航ミサイル配備を突然宣言し、日本の脅威と言える状況下で、)2015年末には、指揮権の委譲により、韓国軍が米の関与なく独自に軍事活動を始められることになることを覚えておくべき
●(中国艦艇のレーダー照射事件関連の)中国の副報道局長による、(照射事件は)「日本の捏造」発言は、中国は確実に国際社会で信用を落とした
●中国は、未だ(国際)ルールがきちんと確定していない海洋、宇宙、サイバー分野において、見えない領土戦争として人民解放軍が独占してほしいままに振る舞う。
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北朝鮮や中国に関する見方はともかく、米国及び韓国に対する視点には注目です。
つい最近まで防衛大臣だった人物による、「米国をアジア太平洋に引き留めること」が重要課題だとの指摘は、真摯に受け止めるべきでしょう。
同様に韓国に対する警戒も、大臣としての勤務を通じ、ずっしり感じた部分なのでしょう。
発言個所によって、発言の立場に「揺れ」があるようにも感じますが、日本の上滑りする安全保障議論への警鐘との視点は一貫しています。
桜井よしこ、佐藤優等に交じっての討論ですが、前統幕長の折木氏が当たり障りのない発言に終始しているのは残念です。
「森本大臣インタビュー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25
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