5日、対中国作戦の指揮を執る太平洋軍司令官のロックリアー海軍大将が下院軍事委員会で証言し、国防予算強制削減の影響について訴えました。
勿論、アジア太平洋「リバランス」への影響は最小限に食い止めたいとの主旨の証言ですが、語られた中身は太平洋軍兵士や文民職員の「やる気低下」や「地域関与低下」は間違いない内容でした
特に痛みを訴える上で、兵士や職員の日常生活への影響を訴える辺りは、「任務どころじゃない」感を醸し出しています。リバランスどころか、米軍空洞化の第一歩かもしれません
オスプレイ訓練等の枝葉末節ばかり報道している日本のプレスには、全く届いていないようですが・・・。
Locklear太平洋軍司令官は・・・
●強制削減の影響は不確かさの増大という観点で既に影響を与えている。最終的には新国防戦略DSGに沿ったアジア太平洋リバランスを損ねるかもしれない
●今後予想できない予算策定過程が部隊活動経費の不透明性を高めており、部隊の運用や訓練の柔軟性を制限している
●引き続き担当エリアでの危機対処と国土防衛(ハワイとグアム?)に展開戦力で当たるが、信頼できる抑止力の提供や7つの同盟国との信頼感に影響が及ぶ可能性もある
●近未来への影響として、航空機、艦艇、空母等が世界の52%をカバーする体制を維持できない懸念を持っている。例えば既に、3月1日に出港予定だった艦艇が、活動経費削減のため真珠湾に係留されたままである。
より具体的には(氷山の一角ながら)・・・
●強制削減が、太平洋地域での関係国との協力関係や能力向上を目指す演習削減のトリガーとなろう。例えば、地域35カ国との意思疎通に欠かせない「旅行交通費」が5割削減されており、既に大きな影響を与え始めている
●また、訓練やローテンション展開の頻度の大幅削減も予期しなければならない。これにより危機への対応や地域への支援能力が削減されるだろう。つまり強制削減は「Indo-Asia-Pacific rebalance strategy」を遂行する我の能力を変化させる
●4月から開始予定の文民職員に対する「強制無給休暇:furloughs」は、約38000人の職員に悲劇的な影響をもたらす。
●週1日の割合で無給休暇となれば、収入が2割減となり、主に物価の高いハワイで生活する職員は生活を見直す必要に迫られている
●当然職場への影響も甚大である。文民職員の5人に一人が不在となるわけで、歴史的に人材確保の面から地域特性を理解した文民職員に大きく依存しており、無休強制休暇の影響は重くのしかかっている。
●また、既に経費節減努力を極限まで追求してきた基地内の学校や病院では、サービスの提供を低下させなければならない。
●私は任務遂行に引き続き取り組むが、(ご紹介した影響は)氷山の一角である
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給料が2割削減されたら、独身者はいざ知らず、生活費を根本的に見直し必要があります。子育て世代の場合は特に。
旅費が5割削減・・・高官の旅費確保を優先すると、本当に必要な担当官レベルの交通費が大幅削減となり、英語力が低い日本との協力関係の推進は失速・・。
演習やローテーション派遣の削減がどの程度か不明ですが、米軍べったりな海上自衛隊への影響が一番大で、次に意味無き脆弱性加速の司令部横田移転を行った航空自衛隊も心配されます。
空洞化の第一歩として真摯に受け止め、日本の国防を巡る国内議論が活発になることを期待します!
「サンダーバードも飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-05
「強制削減:ワシントンDCの雰囲気」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-09
「海軍は空母活動停止も示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-26-1
「空軍2トップが強制削減策を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15