17日付米国防省web記事が、米軍と豪州軍間で各種軍需品(装備品やその部品から食料まで全ての物資)の流通をリアルタイムで掌握できるシステム(RFID:Radio Frequency Identification System)が4月から稼働を開始し、両軍間での物資管理の効率性が飛躍的に高まり、各種作戦活動や人道支援や災害対処に大きな役割を果たすと報じています
なお同システムは、3年前からNATOでも導入されているらしく、アフガンでの活動を支える兵站部門の鍵となっているようです。
RFIDの「Radio Frequency:無線周波数」との言葉と、物流管理の技術的な関係について記事では詳しく説明がないのですが、「荷物についたバーコードをRFID技術で読み取り、データとして共有し」同盟国間で活用するシステムのようです
NATOに豪とくれば、「アジア太平洋回帰」の米軍は当然日本とも同システムで「結ばれたい」でしょうが、旧態然として前例主義と後ろ向き姿勢の代表選手で、かつ各種調達不正事案と国内法制に縛られて「縮こまっている」防衛省・自衛隊の兵站部門はどう反応するのでしょうか?
記事「米豪が兵站相互運用性を高める」は・・
●米太平洋軍の兵站部長であるMark M. McLeod空軍准将が電話インタビューで語ってくれた。RFIDは、民間小売り事業者が生産者から売り場までの物流管理に使用している技術を導入したものである。
●NATOは3年前にアフガンへの物流か管理するための「ハブ」をルクセンブルグに設置し、データの管理と関係国への提供を行っている
●4月から稼働している太平洋RFIDシステムは、海兵隊の豪州北部へのローテション派遣やアジア地域全体の軍事協力拡大を支えている。
●米豪間ではシステム連接の試みもなされたが、サーバーや処理装置の能力の問題でトラブルが発生し、データ認証でも時間を要する等の課題を抱えていた。そこで2011年にそのシステムを諦め、NATO方式への移行を決めた
●従来は「バーコード読み取り手法」で軍需品全ての物流を管理してきたが、ネットワークで繋がっておらず、データをe-mailで転送して相手先がデータを処理していた。この手法は非常に手間と時間が必要だった。
●歴史的に見れば、兵站情報システムは2つの問題、つまり共通性のない各種システムが連接できない及び情報保全上の壁から情報共有が進まない、との障害を抱えていた。RFIDシステムはこれらの問題を解決した
●McLeod准将は、アジア太平洋重視の中での兵站情報システムの重要性を強調し、「小売り大手のWal-Martにとっても物流管理は重要だと思うが、前線兵士を支え、戦力の発揮に直結する効率的で国際的な補給チェーンは極めて重要である」と語った。
●また同准将は「もっともっと多くの同盟国等(の兵站情報システム)と一体化し、完全な相互運用性を獲得したい。戦力発揮を促進する貴重な技術の一つである」とも語り、「トモダチ作戦」のような災害時の対処に極めて有効だと主張した
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中国への刺激を避けるためか、アジア諸国民への配慮か、米国防省や米軍はアジア太平洋地域で何かやるときは、必ずHA/DR(人道支援と災害対処)を持ち出します。もちろん、自然災害が多い地域ではあり、かつ地域の国々の対処能力が弱いのも確かなのですが・・。
その流れで「トモダチ作戦」にも言及しているのでしょうが、担当准将の「もっともっと多くの同盟国等(の兵站情報システム)と一体化し」との意気込みの先には日本があると思いますが、日本はどう答えるのでしょうか???