9月初旬、テキサス州のDyess基地所属のB-1爆撃機が、メキシコ湾に浮かべた小型船舶を目標に、各種精密誘導爆弾での攻撃実験を行いました。攻撃に成功した写真が公開されています。
B-1爆撃機は冷戦当時、ソ連の防空網を低空超音速ですり抜け、戦略的な目標攻撃を任務に登場した大型爆撃機ですが、過去10年間はイラクやアフガンで多様な対テロ戦目標攻撃に従事しました。
攻撃だけでなく、低空を高速で飛行することによって生ずる騒音等で相手を威嚇する「任務」を与えられたこともあったようです
国防予算の強制削減議論の中では、「全機廃棄」の候補機首にも上げられている「渦中」の爆撃機strong>ですが、対テロ戦で鍛えた地上目標への精密攻撃技術を、アジア太平洋や中東を想定した海上目標に適用し、その能力をアピールしたように見えます
18日付米空軍web記事によれば
●9月4日、Dyess空軍基地の第337試験評価飛行隊所属のB-1爆撃機が、メキシコ湾に浮かべた遠隔操作の小型船舶に対し、6発の爆弾を投下した。爆弾には、500ポンドのGBU-54レーザー誘導爆弾、500ポンド及び2000ポンドのJDAM、レーザー誘導GBU-10(写真上)が含まれていた
●B-1は、目標の小型ボートを探知し、目標照準し、利用可能な現有爆弾で攻撃した。攻撃は全ての天候条件を想定して実施された
●同隊担当幹部は「過去10年にわたり地上目標を対象に磨いてきた技術が、海上目標にも生かすことが出来た」、「我が隊が持つ技術の有効性を確認し、更に高める絶好の機会となった」と語っている
●同隊のゴメス中佐は「本評価試験により、爆撃機クルーが海上目標を攻撃可能で有ることが確認できた。各地域コマンド司令官にB-1爆撃機が提供できる能力を知ってもらう機会となった」と評価している
●同中佐は「将来の戦いが地上で起こるとは限らない。海上かもしれない。そこでB-1が必要時に任務を遂行できるかを評価したのだ。状況に応ずる事が出来るよう解法を見つけるのが試験評価隊の任務であり、これまでもそうしてきた」と語っている
●今後同部隊は、得られたデータを分析し、戦術や手順としてマニュアル化してB-1部隊に普及する
●このようなB-1爆撃機の取り組みは、地域コマンド司令官の任務を遂行する他軍種にも自信を与えることが出来る。陸上であろうと海上であろうと。我々だけでは出来ないが、他と協力することにより、国家に大きく貢献できる。
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CSBAのASB提言レポートでは、海軍艦艇が他の任務で多忙が予想されるため、空軍爆撃機が海上交通阻止(中国への石油等輸送ルート)に重要な役割を果たすことが期待されていました。
あえて小型ボートに注目すれば、ホルムズ海峡に出没するイラン海軍の船舶も対象となり得るかもしれません。精密誘導兵器の試験ですから、小型目標が適当なのでしょうが・・・。
いずれにしても、このタイミングでこの試験。アフガンからアジア太平洋へ、地上目標から海上目標への柔軟な切り替えが可能なことをアピールしたと見るべきでしょう。
脅威の変化に対応する前向きな動きでした。全廃されたら可哀想ですね・・・戦闘機を恨むんでしょうねぇ・・・
昨年のRIMPACで、A-10も艦艇攻撃に挑戦し、大型補給艦の撃沈に成功しています。同じ「崖っぷち族」、アピールに必死なんでしょうか?
「A-10が大型艦艇を撃沈!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25-1
「A-10やF-15やKC-10を犠牲に!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-16
「B-1爆撃機も全廃の対象?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19-1