中国軍封じ込めの鍵:バージニア級攻撃原潜
9月7日に就航したバージニア級攻撃型原潜10番艦(ミネソタ:SSN-783)の内部を、就航2日前にメディアが取材撮影した映像が公開されています。
2010年QDRやCSBAレポートが、エアシーバトルにおける、つまり対中国海軍作戦の要の一つとしていた攻撃型潜水艦です
慌ただしい1分40秒のニュース映像で、潜水艦に詳しそうもない若手記者が取材していますので専門家の方には物足りないでしょうが、操縦席や作戦中枢となる運用室らしい様子も撮影されています。
相変わらず狭苦しいベッドの様子や魚雷保管スペースの脇に運動器具が設置されている様子、食堂キッチンや医務室もちらりと映っています。
2004年に1番艦が就役したばかりの新鋭艦で、合計30隻が建造予定らしいですが、ごちゃごちゃしていて人間の暮らす場所ではないですね・・・。
バージニア級攻撃型原潜の概要もお勉強
●全長115m、幅10m、排水量7800トン、乗員士官14名と下士官120名が基準
●原子炉の運用年数33年
●潜行可能深度240m、最大は490m程度
●最高速度時速46km以上、最大は60km程度
●搭載兵器:12本の垂直発射装置と4本の魚雷発射管から、魚雷やトマホークや対艦ミサイルや機雷(新型が完成時)が発射可能
艦内兵器スペースには27発の魚雷やミサイル等が格納可能
●特殊部隊や無人水中艇の投入システム装備(Advanced SEAL Delivery System)
●計画単価は1隻1600億円も、2012年時点で2600億円
更にバージニア級原潜の開発経緯と特徴を
●冷戦末期米海軍は、攻撃原潜であるロサンゼルス級の後継としてシーウルフ級を開発した。シーウルフ級は攻撃能力、静粛性、速力、潜航深度などすべてで最高レベルの性能をもった潜水艦として開発されたが、その反面高価なものとなった。そのため、冷戦の終結後の予算縮小で建造は3隻で打ち切られた。
●そこでシーウルフ級より性能を若干落とし価格を下げた安価な潜水艦でロサンゼルス級を代替することが計画され、これがバージニア級の原点となる。冷戦終結に伴う予算縮小が現実化するにつれ注目されることなった。
●後に沿岸浅海域(littoral area)からの陸上攻撃能力を重視したアメリカ海軍の新戦略である「from the sea」に基づく陸上攻撃能力の向上やSEAL輸送能力の付与などにより、最終的には静粛性はシーウルフ級並、その他の面はロサンゼルス級以上シーウルフ級以下の性能を持つ潜水艦となった。結果として価格も高騰してしまい、調達性が低下している。
●しかし、原子炉の核燃料棒の寿命は艦の寿命(33年とされる)と等しいものを採用した。従来の原潜は、10年ほどで艦を切断して核燃料棒の交換をしなければならなかったことから、これが不要になっただけでも大幅なコスト削減が期待されている。
なお、この潜水艦が海面上を航行する映像は以下に
→http://www.military.com/video/forces/navy/uss-minnesota-ssn-783-in-action/2651861225001/