10日行われた下院軍事委員会のシーパワー&投射小委員会の公聴会で、共和党のRandy Forbes小委員長は、国防省が進めるエアシーバトルや他の作戦コンセプトを導く戦略が明確でないと指摘しています
国防省側からすれば、「予算見通しが不明確な中、戦略なんか立てられるか!」と言いたいところでしょうが、国民の代表者たる議会としては、明確な指針の下、具体的な方策が進められるべきと考えるのも致し方ないのでしょう。
Randy Forbes小委員長は・・・
●2012年1月にDSG(defense strategic guidance)が発表されたが、それを受けて示されるべき軍事戦略は、2011年2月に発表されて以来、全く変更がない
●軍事戦略が無い状態で、国防省はどのようにエアシーバトルのような作戦コンセプトを設計して実行に移すつもりなのか? 軍事戦略を明確にすべきではないか。
●特に予算が厳しく、装備品の調達が困難な状態の中では。
これに対し統合参謀本部の少将は
●DSGに示された10個の任務を、戦力造成の指針と考えている
●A2ADの挑戦を打ち破る任務について考えており、これが他の国防省の任務の基礎である
James Jones米空軍作戦部長は
●米空軍は他軍種と共に、エアシーバトル・コンセプトを作戦に適応する一助として、協同訓練の方法を変化させている
●例えば、米空軍のRed Flag演習に際しては、計画段階から米海軍第3艦隊の関係者と連携を取り、両者がどのように融合して作戦遂行するかを検討し、互いを理解することに勤めている
●更に、米空軍航空戦闘コマンドACCと米海軍艦隊コマンドは新たに「Navy-Air Force integration forum」を設立し、数週間前、海軍が主催して「Navy Global 13」を実施、航空・宇宙・サイバーの3つの領域における指揮統制について検討した
●また、米空軍は米陸軍防空部隊や米海兵隊偵察部隊とドクトリン融合を進めている。「Air-Land Battle」は欧州に焦点を当てたコンセプトであったが、エアシーバトルはA2AD脅威がある場所ならどこでも適応できるコンセプトである。
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Forbes小委員長が言う2011年2月の軍事戦略(「defense strategy」との用語を使用しているが)は、同年2月8日に当時のマレン統合参謀本部議長が7年ぶりに発表したNMS(National Military Strategy)の事だと思われます。
NMSは、大統領が作成するNational Security Strategyを上位戦略として、国防長官が作成するQDR(Quadrennial Defense Review)の考え方を踏まえて作成されるもので、「目的」、「方針」、「手段」を含むべきとされています
NMSが有ってもなくても、変わらないような気がしますが・・・
2011年にNMSが発表された際の記事(中身無し)
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-09
Jones米空軍作戦部長が説明した陸軍や海兵隊とのドクトリン協議は、今後の予算獲得競争を巡るドロドロの争いを考えると心許ないですが、陸軍と海兵隊のエアシーバトルへの警戒心が少しでも和らぐのであれば結構なことです