F-35用のHMDを一本化へ

F-35-HMD.jpg10日、米国防省のF-35計画室(JPO:Joint Program Office)が声明を発表し、主契約企業の製品開発が不調なため、代替の製品開発を別企業に始めさせていたHMD(Helmet Mounted Display)について、主契約側に一本化すると発表しました
声明の概要を10日付Defense-News記事からご紹介するのですが、開発が進捗して技術的問題をクリアした等の表現は一切ありません。以前の経費見積もりより12%削減できるめどが立ったとか、代替品開発のBAE社が「我々は信頼できる製品を予定どおり開発していたのに」との「恨み節」声明をだすなど、不透明な感はぬぐえません
HMDとは戦闘機操縦者が装着するヘルメットのことで、サンバイザー部分に全周囲や機体のあらゆる情報を表示して状況掌握能力を高め、兵器操作をパイロットの視線に合わせるなど、SFさながらの装備です。
精密なフィッティングが必要なことから、操縦者個人個人の頭の形状に合わせて個々にオーダーメイドする必要がある豪華な装備品です。
10日付Defense-News記事によれば・・・
F-35HMD3.jpg●10日、JPO報道官は声明を発表し「HMD代替品の開発中止を決定し、現在試験や訓練に使用しているGen 2タイプのみに集中することにした。製造企業のLockheed Martin/Rockwell Collins/Elbitチームから、12%のコスト削減保障が得られたため、BAE社の代替品開発費用を削減できることになった」と述べた
●言い換えれば、コストが下がり、技術の信頼性が高まったということなのだろう。長年継続してきたハイテクヘルメットの問題にとって、一つの大きなポイントとなろう
●声明によれば、現在試験に使用中の「Gen 2」ヘルメットは、海兵隊用F-35Bが初期運用を開始する2015年7月に提供され、最終的に要求性能を満たす発展型の「Gen 3」は、2016年の生産ロット7の初期生産機体と共に提供が始まる予定
F-35HMD4.jpg●JPOによれば、「Gen 3」には最新の夜間暗視装置、液晶ディスプレイ、改良ソフト等々が組み込まれるとのこと。ロッキードの担当副社長は「我々のHMDへの信頼感が示されたものだ」との声明を出している
●一方で、既存の技術での代替品開発の中断を言い渡されたBAE社は、「落胆している。BAEは信頼でき、耐久性があり、費用対効果の高い製品の提供を行えたのに。これまで順調に開発は進んでおり、緊要な要素を満たす代替品提供が可能だったのに」と声明を出した。
●JPOを率いる室長のBogdan中将は9月17日、「2種類の候補があるということは、競争が発生し、価格が下がるということだ」と語っていた
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一つに絞られたということは、競争が無くなり、価格が高騰するということでしょうか・・・
JPOの声明には「技術的課題を克服した」等の言及は無いようです。ほどほどの装備が、ほどほどの予算内で出来そうだ。代替品を選んで批判されることはなんとしても避けたい、との本音が聞こえてきそうです
F-35HMD2.jpgHMDは、究極の「おもちゃ」だと思います。もちろん完成すればそれなりの効果を発揮するのでしょう。便利な装備なのでしょう・・
しかし米国と対峙する国は、そのような装備品を備えた米軍と正面から対峙する作戦を行うでしょうか? 正面から激突して勝利を収めるため、膨大な予算をつぎ込んで破産する道を選ぶでしょうか?
今一度、脅威の変化を考えます
「脅威の変化を語ろう!」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「亡国のF-35」カテゴリー記事85本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1

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