「英と豪のみに与えていた条件で、印とも関係推進」
「両国は共に大国で複雑な民主主義国だ。動きは遅いが、長期で見れば確実に関係は進展する」
9月30日、カーター国防副長官がシンクタンクCAP(Center for American Progress)で講演し、9月12日からのインド訪問でインド側へ画期的な協力関係の提案を行い、今後もその方向で両国軍事関係を発展させたいとの意欲を語りました
なお9月の訪問は、印、パキスタン、アフガンを巡る7日間の日程だったようです。
冒頭ご紹介の発言が示すように、米印関係は単に「対中国で一枚岩」とは行かない大国関係で、情勢認識の差や国内事情もあり、一進一退を続けながら少しずつ「ほふく前進」しているような状態です
しかし、なんとしてもインドを米側に引き寄せたい米国防省は、「アングロサクソン並」の条件を準備し、インドとの装備品共同生産や開発推進に取り組んでいます
9月30日の講演でカーター副長官は
●「米国は米国企業と共に、次世代のJavelin対戦車ミサイルの共同生産に向けた真に画期的な新提案を前進させた」と述べ、インド向けに準備した前例のない提案であると説明した
●本提案に対しインド企業から良い返答が得られるであろうと確信したと語り、両国間の官僚的な障害を乗り越えるための15ヶ月間にわたる粘り強い取り組みが、両国の軍事協力を一段レベルアップさせたと述べた
●前任のパネッタ長官がインドと合意したDTI(Defense Trade Initiative)の枠組みを活用することにより、軍事協力の発展につなげることができたと説明した。
●DTIを通じ、米国の輸出管理規制に関しても「インドに機微な重要技術を提供できる事を示す事が出来た」、「手続きをインドのためにスピードアップし、特に国防省は非提供分野を守りつつ、case-by-caseで全てのパートナーのためにこの手法でとの認識のもと適応した」と説明した
●具体的には、技術移転、ライセンス合意、ライセンス例外、end-use監視等々の分野で進展があり、「我々双方の企業から、前向きで前例のない共通の目標に向けた共同生産の提案を行った」とアピールした
●対外輸出可能な対戦車兵器以外にも、海洋ヘリ、海軍用のガン、地対空ミサイルがこれら双方の提案に含まれ、先の訪印の際議論した。「いずれのケースでも、インド側の要望に早急に応ずるため、米国内手続きの迅速化に努めた」と説明した
●また「これまで英国と豪州にしか適応しなかった補助金システムを、インドにも適応することをインド側にお知らせした。これは鍵となる共同分野に関し、インド側パートナーを探し出し、革新的なプロジェクトを提案した米研究者に優先的に資金を提供するというモノである」と語った
●共同プロジェクトの好例として、政府資金が全く関わっていないハイデラバードのC-130組み立て工場の例を副長官は引き合いに出した。両国政府が賞賛する両国企業同士による共同プロジェクトだと讃えた
●またC-130J共同プロジェクトによる機体が、ヒマラヤの高度16000フィートの飛行場に着陸する記録を打ち立てたことを成果として紹介した
●カーター副長官は部隊の共同演習の活発化のために投資を行うと語った。例として、本年5月、約200名のインド陸軍部隊がノースカロライナ州で米陸軍第82空挺師団と共同訓練を行い、PKOや人道支援に始まり、空中機動攻撃までを演習したと紹介した
●最後に「両国は共に大国で複雑な民主主義国だ。動きは遅いが、長期で見れば確実に関係は進展する」と講演を結んだ。
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金融の世界では、「FRBによる量的緩和の終了の動き」でインドは大きな負の影響を被っていると伝えられています。
そんな中、カーター副長官が努力してきたインドとの国防分野での関係強化はどのような評価を受けているのでしょうか?
インド全体の状況や大きな米印関係の動向について把握していませんが、米印関係の発展は喜ぶべき事なのでしょう
「英と豪のみに与えていた条件で、印とも関係推進」・・・日本も何とかインド並みに扱ってもらえるように、国内環境を整えたいモノです
米印軍事関係の記録
「インド空軍が世界記録」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-31-1
「米軍がインド対応特別チームを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16
「12年7月に6機追加決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-24
「2012年6月の訪印」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-06