2日、ソウルで45回目の米韓Security Consultative Meetingが開催され、ヘーゲル国防長官と韓国のキム国防相が協議し、共同声明(communiqué:tailored deterrence strategy against North Korean nuclear and other WMD threats)に署名した後に共同会見を行いました。
会談にはデンプシー統合参謀本部議長やロックリア太平洋軍司令官、更には同日在韓米軍司令官に就任したCurtis Scaparrotti陸軍大将も協議に参加しています
米国防省web記事が伝える会見は、北朝鮮の脅威にしっかり協力して立ち向かうとの従来の姿勢を「再確認」する内容となっていますが、本分野に素人のまんぐーすが引っかかるのが、米韓ミサイル防衛協力に関する部分です。
思いっきり邪推ですが、日米がBMD協力で緊密度を増す中で、韓国側がその枠組みに入ることに「強烈な拒否反応」を示しているように思えてなりません
会見では、まず対北朝鮮協力の再確認
●「tailored deterrence strategy」の枠組みは、特定脅威を抑止する同盟の戦略的で政策レベルの枠組みである。両国がともにシームレスに抑止効果を最大限にする事を促すモノであり、より未来志向で包括的な戦略同盟の必要性で合意したモノである
●また共同声明は、米国が韓国への抑止力提供と強化に関し、米国の核の傘、通常兵器、更にミサイル防衛能力を最大限に使用することにコミットすることを再確認している。
●更に共同声明は、北朝鮮に核兵器の全廃を促し、現存の核開発計画の完全に不可逆的な停止やウラン濃縮の停止等を促すモノしている
●また、へーゲル長官は特に北朝鮮の化学兵器に関し「北朝鮮による如何なる化学兵器の使用も、受け入れがたいモノである事に疑いはない」と発言した
●(戦時作戦統制権の移管については・・)移管のタイミングと条件については、「Strategic Alliance 2015」に基づき、継続的に両国で協議することに合意した。本件に関し、本協議後直ちに共同作業部会を立ち上げ、議論を行うこととした
疑念のミサイル防衛協力に関しては
●キム韓国国防相は「共同声明は、包括的なミサイル対処戦略を提供し、北朝鮮兵器からの脅威をdetect, defend, deter and destroyする事を目的とするものである」と述べ、
●更に「韓国は継続して信頼できる相互運用可能な対処能力の構築を行い、韓国は韓国の防空及びミサイル防衛システムを開発する」と共同声明の内容に言及した
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会見のトランスクリプトは
→http://www.defense.gov/transcripts/transcript.aspx?transcriptid=5316
新しい在韓米軍司令官(国連軍司令官と米韓連合軍司令官も兼ねる)のScaparrotti大将は、アフガンでISAF司令官や在アフガン米軍の副司令官を経験した陸軍の王道「歩兵」士官で、2012年7月からはデンプシー議長の側近(Director of the Joint Staff)として、直々にデンプシー大将の薫陶を受けてきた期待の人物です
ところで米韓ミサイル防衛ですが、北朝鮮と韓国が接していることから、韓国が独自に短距離ミサイル対処を考えなければならない点は考慮するとしても、あえて共同声明で「信頼できる相互運用可能な韓国の防空及びミサイル防衛システムを、韓国が継続して開発する」と米国に署名させるほどの独自路線への「こだわり」に注目です
「日本は信用できない」とヘーゲル長官に言い放った朴大統領の下、日米間で確立しているシステム、つまり間接的にでも日本のシステムとの連接や情報共有など「絶対いや」姿勢を明確に打ち出したものと「邪推」します
韓国と協力を:デンプシー議長が訴える@防衛研究所
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-28
●同じ北朝鮮の脅威に直面しているながら、(日本と韓国の)2つのピクチャーは融合されていないではないか!
●日本と韓国が、直面する北朝鮮の脅威に対し、相互運用可能な関係になるべきではないか
「日韓共通戦略目標を提案する」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-02-1