台湾の巨大な中国監視レーダー

Taiwan-Radar.jpg26日付Defense-Newsは、2012年末に台湾が運用を開始した巨大レーダー写真左のカラー写真)について紹介しています。米軍がBMD用に北極圏正面を中心に運用するレーダー(その他白黒写真)を基礎に開発されたモノですが、BMDだけに止まらず情報収集用や妨害用等々の多様な機能を持つようです。
情報筋によれば、「世界で最も強力なレーダー」で「米国も似たような装備は保有していない」との代物らしいです。
記事は具体的な中身にあまり触れていませんが、「世界で最も強力」と言われれば気になりますのでご紹介します
26日付Defense-Newsによれば・・・
●台湾がその西岸で運用を開始した早期警戒レーダーは、中国を除く全ての関係者から一目置かれている。それもそのはず、情報筋が「世界で最も強力なレーダー」で「米国も似たような装備は保有していない」と語る装備だからである
台湾の「Hsinchu」近郊の「Leshan Mountain」に設置されたレーダーは、UHF波を使用する対空警戒レーダーであり、目標の大きさにもよるが、巡航ミサイルや弾道ミサイルを3000km遠方から探知できると米軍需産業関係者は語っている
●更に同関係者は「台湾は本レーダーを使用することで、中国国内の主要な飛行活動や演習の状況を確認できる」とも述べている。
FPS-115front.jpg2000年に米国はBMDレーダー計画を承認し、レイセオン社が米国BMD用に北極正面を中心に運用するAN/FPS-115レーダー(白黒写真)を基礎にしたレーダーを提案した
●レーダーは2009年から予算約800億円で建設が始まったが、土砂崩れや技術的問題で遅れ、結局台湾が追加で約400億円を支出することと成った。台湾議会や国防省から反対が大きかったが、台湾軍需産業関係者が「かつて無いユニークなレーダー」と呼ぶモノが完成した
●2012年末に運用開始後、北朝鮮のミサイル発射も探知している。また中国大陸から170kmと近接し、中国の「Dongjing Shan」所在の電波情報収集サイトと対面している。
台湾の新レーダーが電波妨害機能を保有すると報じられているところ、この立地の持つ意味は極めて重要である。ただ一方で米国関係者は「紛争が勃発したら、1時間と持たないだろう」と見ている
米側に当該レーダーの情報が提供されているかが関心事だが、米国側が過去10年以上にわたり早期警戒衛星情報を台湾に提供している事を受け、「米国はgive and takeで情報を得ている」とみる米企業関係者もいる
●一方で、元米政府高官は「台湾と米国がリアルタイムの情報共有の協定を結んでいるとは考えにくい。当該レーダーが単なるBMDレーダーではない優れた特性を持つことから、米国が自制的姿勢を改めさえすれば、より有効な相互協力が可能で有ろう」と語った
FPS-115back.jpg1996年当時の台湾総統選挙に絡む「台湾海峡危機」の際、中国は台湾の北方と南方に計10発のDF-15短距離弾道ミサイルを撃ち込み、米軍が空母2隻を派遣してこれを押さえ込んだ。当時DF-11/15の総保有数は約350発といわれていた
●しかし今や、中国の保有するSRBM数は1100発と言われている。その後紆余曲折を経たが、2008年に米国はBMD用のPAC-3ミサイルを330発提供し、2010年には追加で114発を台湾に提供した
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台湾新レーダーの原型となったAN/FPS-115は、UHF(420–450 MHz)波を使用するレーダーで、宇宙の衛星監視も可能なレーダーです。
台湾と米国の情報共有程度は不明ながら、米国が世界の同盟国と進める「宇宙状況監視」と「宇宙状況データの共有」に台湾が加わったとしても不思議ではありません。
「中国国内の主要な飛行活動や演習の状況を確認できる」との表現ですが、遠方を見ようとすれば、電波の性質から情報量は「薄く」なるため、それほど細部が把握可能とは思えません
「紛争時は1時間も持たない(1時間以内に敵攻撃を受ける)」は全く正しい見方で、力学的攻撃でなくとも、サイバーや妨害電波攻撃は避けられません
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