NZは1987年から米軍空母等の入港拒否、今後も
28日、ヘーゲル国防長官はニュージーランドのJonathan Coleman国防相と会談し、昨年パネッタ前長官が約30年ぶりに同国を訪問して「雪解け」ムードを作った流れを受け、軍事関係の再開を宣言しました。
ヘーゲル長官は、昨年から両国軍事関係が大きな進歩を遂げたと語り、アデン湾での海賊対処活動を讃え、来年のRIMPACへのNZ艦艇の参加とハワイ寄港を許可する発表を行い友好ムードを装っていますが、、なぜか米国防省web記事は短く淡泊で、奥歯に物が詰まったような・・・
共同記者会見では、NZ国防相がヘーゲル長官にラグビーチーム「All Blacks」のユニフォームを送るパフォーマンスもあったのですが・・・
この不完全燃焼感の理由は、Defense-News記事を読んで判りました。NZは、1987年から米NZ関係が中断した原因となっている、米海軍の原子力推進艦艇のNZ入港に関し、全く態度を変えなかったからです。
28日付米国防省web記事は
●ヘーゲル国防長官は、共同記者会見で両軍関係の再開を発表し、1984年以来約30年間ぶりにNZ艦艇が来年RIMPAC参加のため米国港湾施設(ハワイ)に入港することになると語った
●また長官は、昨年来の両国関係の進展を記者団に語り、その一環として30年ぶりの軍事政策協議を近くホノルルで開催し、アデン湾での海賊対処活動にNZ艦艇が参加し、更にNZが主催する最大の多国間演習に米軍が参加するとも説明した
●米豪NZの3ヶ国で結んでいるANZUS同盟は、NZが米海軍の原子力推進艦艇の入港を拒否したことで1984年から一部が中断し、米側もNZ艦艇の入港受け入れを拒否した。
●これに関し昨年30年ぶりに国防長官としてNZを訪問したパネッタ氏が、今後は海軍や沿岸警備隊港湾施設へのNZ艦艇の入港をケース・バイ・ケースで判断すると緩和する発表を行ったところ。
●NZのColeman国防相は会見で「両国の軍事関係はこの2年間で大きく進展した。NZ艦艇の入港禁止措置の解除に感謝する。30年ぶりの軍事協議再開をうれしく思う」と語った
米原子力船拒否については触れず
(28日付Defense-News記事)
●ヘーゲル長官は、アジア太平洋リバランスの一環として豪州オセアニア周辺で海軍や海兵隊が活動を増加させていることも踏まえ、NZ国防相と昼食を共にして協議を行った。
●しかし、NZ艦艇のRIMPACへの参加やハワイ入港許可の件を合意したと発表したが、NZが米海軍艦艇の入港を拒否していることには全く触れなかった。26年間継続している米空母等の入港拒否に関し、何ら進展の兆候は見られなかった
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
NZ軍は総勢約8600人(陸軍4,400名、海軍1,900名、空軍2,300名)で、海軍はフリゲート艦2隻、空軍は輸送機やヘリ等5個飛行隊のみで実質戦力としてカウント出来ないのですが、薄っぺらな正義感を振りかざす様子には腹立たしいモノがあります
NZはちょっと特異な国で、その周辺環境から、冷戦終了後の1998年に戦闘機を廃止する決定をし、2003年を最後に輸送機と海洋監視航空機のみを保有する軍となっています。朝鮮戦争やベトナム戦争に参加した経験はあるようですが・・・
捕鯨に対する態度など、豪州にも似たようなところがありますが、これらオセアニアの国との関係を担う皆様のご苦労を思わずにはいられません。
パネッタ前長官による突破口
「対中へ:米NZ関係30年ぶり改善」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-22
「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「米豪が60周年同盟強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-17