20日、米海軍の航空戦構想責任者であるMike Manazir少将が、FA-18E/Fの後継機について海軍協会記者に語っています。
このManazir少将は、先日ご紹介した空母艦載無人機UCLASSの「びっくり構想」を語った人物ですが、今回もかなりフランクに語ってくれています。
2015年から検討を本格化させるそうで、まだ比較的自由に語れる状況なのでしょうが、F-35CとUCLASSには無いものをもとめて行く、との考え方はごもっともでしょう
Mike Manazir海軍少将はFA-XXについて
●米海軍はFA-18の後継となるFA-XXの「AOA:analysis of alternatives」を、2015年度予算から開始する予定である。FA-XXは関連の「family of systems」を含め、2035年頃の運用開始を想定している
●今は「AOA」分析でどの部分に重点的に投資して分析するかを検討している。2015年度の当初からAOAに入り、2030年には初号機を入手できるように調達計画を検討する。
●FA-18E/Fが退役する2035年頃を見据え、その時点でどの能力を我々が失い、どんな能力をFA-XXが持つべきかを検討中である。
●FA-XXを考える際は同時に、F-35Cと空母艦載無人機UCLASSが空母航空戦力に何をもたらすかを完全に理解しておく必要がある。
●例えば、現在FA-18は空中給油母機としてしばしば使用されるが、仮にUCLASSが給油母機として期待でき、機数も確保されるのであればその能力をFA-XXが持つ必要は無い
●ただし海軍は個々の具体的な要求を固めたわけではない。搭載ミサイルはどうなのか、レーザー等エネルギー兵器搭載を想定したパワーや冷却装置をどうするのか、また敵ステルス機に対処する兵器システムをどう考えるか等々を整理する必要がある
●またFA-XXの「family of systems」は、戦術レベルでのサイバー戦を想定した能力を備えることも想定される
●米空軍とも緊密に協議している。空軍はF-22の後継機検討を行っており、統合での能力発揮を考える時、共通の能力について協力を追及している。特に「variable-cycle engine」技術で協力が進行中だ
●我々は航空母艦がどのような戦場環境と置かれようとも、上記のような多様な能力を取り込んで敵を圧倒しなければならない
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Mike Manazir海軍少将が語るFA-XXの世界は、20世紀の匂いがします。UCLASSの要求性能の時もそうでした。従来の考え方が単純に延長されているような世界観が・・・
レーザー兵器やステルス対処やサイバー戦の概念が盛り込まれているとはいえ、空母自体の脆弱性を踏まえた将来の運用構想や、それを踏まえた遠方からの活動をどれほど考慮しているのかが不明確で気になります
また潜水艦乗りである現海軍トップのグリーナート海軍大将が語った、「母機よりも搭載兵器重視」の考え方がどう反映されているのかも良くわかりません
もしかして・・・米海軍内で、航空派、艦艇派、潜水艦派、対潜哨戒派に分かれての「予算配分を巡る内部抗争」が起きているのではないかと心配になります。
もう一つ、年末のこの時期にも、海軍関係の報道は盛んですが、空軍関連は「音なし」です。F-35に「縛られる」度合いの高い空軍は「疲労困憊」で、将来を考える余裕までなくしてしまっている観が漂っています。
関連の過去記事
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
「母機よりも搭載装備を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-11
「F-35がUCLASSを管制?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21