分析の結果、中国軍は東シナ海地域で自衛隊を短期の激しい戦い(a short sharp war)で撃破し、尖閣諸島あるいは琉球列島南部を占領する新たな任務を与えられたとの結論に達した
米太平洋艦隊の情報部長James Fannell大佐が、連続して中国海軍や海洋局の「ご乱交ぶり」を大胆かつ率直に発言して話題となっています。
同大佐(Director, Intelligence and Information Operations)は、約20年前に米海軍で初の中国海軍専門分析官に配置された以降、中東での活動に時節駆り出されたことはあるモノの、20年以上ほぼ一貫して中国軍をフォローしてきた指折りの専門家であり、「知る人ぞ知る」存在です
本日ご紹介するのは、海軍人や同OBや関連企業や海軍支援者等を対象とした2月13日と1月31日の講演の一部ですが、なぜこのタイミングで発言が大胆になったかを想像すると、やはり予算の時期だからでしょうか・・
1月31日の講演で大佐が語っているように、アジアの同盟国等がこれだけ米国に期待している中、世界の繁栄をリードする当地域での行動の自由と秩序を守る役割を果たすべきだとの強い思いからでしょう
2月13日の発言@West 2014会議
●中国は台湾への侵攻を長く訓練してきたが、日本が領有する東シナ海の領土へもこれを拡大しつつある。中国軍の全軍種が参加した「Mission Action 2013」演習で我々は、地域の中国軍の全軍種が大規模な着上陸作戦を行うのを目撃した。
●我々は分析の結果、中国軍は東シナ海地域で日本の自衛隊戦力を短期の激しい戦い(a short sharp war)で撃破し、尖閣諸島あるいは琉球列島南部を占領する新たな任務を与えられたとの結論に達した
●最近米政府高官も表明したように、南シナ海周辺国からの反発に関わらず、中国は「9-dash line」で囲まれた海域の支配を主張し、同海域での海上活動を活発化させており、説明もなく国際法上の根拠も不明確な行為に懸念が広まっている
●中国側が主張する海洋権益の保護とは、中国周辺国の沿岸地域での権利を圧力で犯す行為の「表現上のすり替え」に過ぎない
●統合された中国の海洋保安機関が傲慢に隣国の領海を脅かす一方で、中国海軍艦艇は海洋保安機関の守護神として(背後に控えつつ)、周辺国の港を訪問して友好親善を促進しようとしている
海軍協会web記事の解説
●なおFannell大佐の発言は、同じパネル討議に登壇した米海軍戦略計画部長であるJames Foggo少将の発言と対照的だった。
●同少将は、昨年米海軍代表団が中国海軍基地を訪問し、艦艇や潜水艦の見学も含む有意義な協議が出来たと語ったからだ。ただし同協議の直後、中国は東シナ海でのADIZ設定を宣言している。
1月31日の講演@海軍協会
●私は毎朝5時に出勤し、太平洋艦隊担当エリアで過去24時間に発生した事象を記載した書籍のような厚さの書類に目を通す。そして朝6時から、20名以上の部下や専門家と共に会議を行い、事象を分析する。
●担当エリアは米西海岸からインド洋にまで及び、個々の事象を全て順次分析するが、毎日が中国の話題だらけである
●過去約5年間で、中国海軍は第一列島線を超え、その外側での活動範囲を拡大している。言うまでもなく、外洋への進出は太平洋艦隊との対峙を意味する
●中国海軍の能力向上は著しい。 例えば、2012年に中国海軍は水上艦艇7隻と過去最大規模の潜水艦群でフィリピン海(フィリピンの東)に進出した。この規模はその前年から飛躍的に拡大した
●2013年にはフィリピン海で、新華社通信の表現を借りれば「艦隊が20種類以上の演習を行い、訓練には海上対峙、遠洋での戦闘訓練、海洋権益の保護、指揮統制が含まれる」内容が実施された。
●中国海軍の文民バージョンに近い海上保安機関は、2008年から周辺海域のコントロールを強化している。その姿勢を表現すると、中国のモノは中国の所有物、だからあなたのモノについて交渉しましょうとの態度である
●中国の海上保安機関が行っていることは、中国の領海拡張要求を押しつけて他国を困らせることにつきる。完全に海洋主権に関する言いがかりを付ける為の機関となっている。その組織は驚くべき速度で艦艇の増強を進めている
●1988年時点では、南シナ海において中国のプレゼンスはほぼ「ゼロ」だった。しかし2013年時点では、文字通り中国が支配する状態になっている
●2007年以前には、米海軍は東アジアで人気がなかった。艦艇の入港や航空機の着陸許可が円滑に進まなかった。しかし今や180度変わった。東アジア諸国は、なぜ米国を好きかを思い出した
●当該地域国の海軍カウンターパートは今、米国が平和的解決や国際規範のために強い姿勢を取ることを願っている。民主主義や国際法の下での繁栄を、覇権的な中国に奪われたくないのだ。
●地域の国々は、過去70年間に渡り地域の安定させてきた米国の言葉や条約、更には米国の軍事力が信頼できるモノである事を望んでいる
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海軍大佐が海軍関係者に発言した内容ですので、「大規模着上陸:massive amphibious」との表現が目に付きますが、むしろ全軍種が参加して統合訓練がなされたことに着目すべきでしょう
そして「短期の激しい戦い(a short sharp war)」で自衛隊を撃破する際は、まず初めに、弾道及び巡航ミサイル攻撃や、サイバー&電子戦攻撃が中心の作戦であろう事を肝に銘じる必要があります。言うまでもない、世界の軍事常識ですから。
ところでJames Fannell海軍大佐の公開経歴によれば、若き頃は空母艦載電子戦部隊の一員だったようですが、病(ガン)に犯され、その後情報士官に転身しています。
若き日の無念な思いと、その思いも併せて取り組んだ20年余にわたる中国軍分析の結果を踏まえ、今こそ「俺が言わないで、誰が言う」の心境なのかもしれません・・・
James Fanell太平洋艦隊・情報部長の経歴
→http://www.cpf.navy.mil/leaders/james-fanell/
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防衛研究所「中国安全保障レポート2013」の概要
4回目の今回は「中国の危機管理」がテーマ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
米海軍の情報分析機関による中国海軍分析
中国空軍と同様に中国海軍も、弾道ミサイルや巡航ミサイル、目標ターゲティング能力、隠密性の高い潜水艦に力を入れ、米側の脆弱な作戦基盤や貴重なアセット無効化を狙っている模様
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-08t