ヘーゲル長官:欧州諸国よ戦略的国防投資を

Munich3.jpg1日、ヘーゲル国防長官はミュンヘン安全保障会議でケリー国務長官と共に登壇し、欧州国防関係首脳に対し、財政厳しき中でも国防投資を怠らず、米国と協力して戦略的に効果的な投資を行おうと呼びかけました。ケリー国務長官も同じく、欧州各国に安全保障への関与を強く求めています
2011年6月にゲーツ国防長官(当時)は、国防費削減を続ける欧州を厳しく非難しましたが、ヘーゲル長官も少し表現を和らげつつも、国防投資の重要性を訴えています
なおヘーゲル長官は、間もなく発表予定の2014年QDRの内容と絡めて欧州への協力を要望しており、その辺りも含めご紹介します
ヘーゲル国防長官の欧州歴訪特集
→http://www.defense.gov/home/features/2014/0114_hagel2/
1日付Defense-News記事は・・
Munich.jpg●ヘーゲル長官は、12年に及ぶイラク・アフガンでの戦いを終えて米国防省が縮小に向かい、欧州の多くの国が国防費を縮小する中で、より同盟国同士で協力し、戦略的に軍事投資を行おうと呼びかけた
●世界の脅威に対処するため、米軍は任務を変わって担当してくれる同盟国を探しており、また欧州諸国軍とより共同で能力構築を進める戦略を策定中である
中国とロシアに言及し「これらの国は、急激に軍事力と世界的な軍需産業を近代化しており、我が技術優位とパートナー国を脅かしている」と警戒感を示した
●(2014年ODRに言及しつつ、)同文書は同盟国との協力を重視しており、過去10年間の戦いで能力を蓄えた同盟国は、能力が劣る諸国軍への訓練や助言に貴重か役割を担うことが出来る
●一方で米国は、継続的に特定分野について重点投資しなければならないし、それら分野では引き続き世界のリーダーである必要があると考えている
●ヘーゲル長官はこの点に関し「3月提出の予算案でも、財政厳しい中、欧州ミサイル防衛予算は完全に守られている」と講演で述べ、国防省高官もミサイル防衛と核抑止任務を特定分野上げている
●ヘーゲル長官が1月末に訪れたポーランドでは、米国が欧州で推進し、その一環でポーランドに配備する迎撃ミサイル関連について活発に議論された
●また長官は、米国と英国や豪州とのパートナー関係が、同盟関係の一段の一体化のモデルになると語り、同時に米国の将来投資と戦略計画に影響を与えると訴えた
●例として、英国の空母再導入への協力や、豪州軍人が太平洋陸軍の副司令官を務めることを述べ、同盟国が持つ特有の能力との協力をより緊密にすし、その範囲は訓練強化から先進の戦闘任務にまで及ぶと説明した
Munich2.jpg●長官は11ヶ月間の勤務を振り返りつつ、「議会での盟友であるケリー国務長官と協力し、軍事と外交のバランスを取り戻したい」と述べた。
●国防省高官も「長官は、国家の外交政策は国務省がリードし、国防省が支援するモノであると考えている。過去10年間であまりにも外交の軍事化が進みすぎており、軍事がサポート役だった頃にもどるべきだと信じている」と説明した
●ヘーゲル長官は会議後の会見で、(2011年にゲーツ長官が欧州諸国を厳しく非難した事に関し、)ゲーツ氏が語った内容と変わるモノではないが、異なった表現をしたまでだと回答した
●更に「パートナーシップとはパートナー精神である。皆が参加しなければならないし、皆が貢献しなければならない。皆に役割があるのだ」と訴えた
ケリー国務長官も会議で
内向きになるオプションはない。同盟国は「assistance programs」に貢献しなければならない
●ミュンヘンで良い議論をすることが目的ではない。困難なときにも資源を確保し、複雑で悩ましい挑戦を跳ね返す国々を支援していかねばならない
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2011年6月のゲーツ氏の講演は強烈でした
リビア作戦での欧州諸国軍の「ていたらく」を上げ連ね、責任から逃れようとする国があると非難し、「欧州諸国よ今からでも遅くはない。同盟関係を正常に戻すことが出来るはずだ」と同会議後の一般対象の講演でぶち上げたのでした
ゲーツ講演→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
Munich4.jpgへーゲル長官もゲーツ氏と気持ちは同じでしょうが、「外交の軍事化」を戒め、米軍の役割を縮小したいと訴えた手前、それほど欧州の国防首脳に強く言えなかったのかもしれません
より戦略的な国防投資」・・・今後、都合良くあちこちで使用されそうな表現ですね・・・
「豪州軍人が太平洋陸軍の副司令官を務める」これは知りませんでした。要確認です
もうひとつ・・・同盟国の任務分担への提案
「Front OfficeとBack Office概念で」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25

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