台湾軍は保有する146機の初期型F-16を機種更新するため、10年以上に渡り最新型F-16C/Dの売却を米国に求めていました。
しかし、中国の反発を恐れた米国政府は最新型売却を拒否し、代わりに米空軍が計画していたF-16能力向上計画(CAPES:Combat Avionics Programmed Extension Suite)の台湾F-16への適応で我慢せよと数年前に通告しました
ところが4日発表の2015年度予算案で、米国防省は米空軍F-16へのCAPES計画予算を計上しませんでした。台湾は再び米国から「ハシゴを外された」形となりました
米側はLockheed社が統括するCAPES計画自体は存続するから心配するなと言っているようですが、台湾は価格の高騰等が避けられないと予想しており、「台湾国防省関係者はパニック」に陥っている模様です
8日付Defense-News記事によれば・・
●米空軍の予算担当次官補代理マーティン少将は、CAPES計画が予算落ちしたことに関し「厳しい選択だった」と語った。更に「新装備の購入か、保有装備の近代化か、は典型的なトレードオフ関係にあり、旧装備の近代化に予算配分した予算もあるが、F-16には予算配分しないとの決断に至った」と述べた
●(台湾への影響を考慮したかとの質問に、)「このような決断は望まなかったが・・」と述べるに止まった。来年度以降に計画再開の可能性について「ドアは継続して開いていない」と答えた。
●理論的には、台湾国防省が新たにF-16能力向上計画の企業選定を行い、統括企業をBAE Systems、Boeing及びLockheedの3社から決定することもあり得るが、実質的には米軍が参加しないCAPES計画の受け入れを強制されることになると見られている
●台湾国防省は、米軍機300機と台湾機146機で分割負担することが想定される開発経費や改修経費を、台湾のみで負担することになるのではと懸念している。
●台湾国防省のコンサルタントは、米軍のCAPES計画不参加により、台湾機の能力向上コストが3割から6割上昇すると見積もっている。
●先程述べた開発経費等を単独負担しなければならず、またそのような経費を米国が負担することを米国の法律が禁じているからだ。また、改修後15年程度に渡る機体の維持整備費も、米軍の300機が抜けることにより跳ね上がる恐れが高い
●台湾議会はF-16改修経費に上限を設定しており、上記コンサルタントの見積もりが正しければ、CAPESに中の新しい「mission modular computer」を除外しなければならなくなる恐れがある
●CAPES関係企業は、FMSだからレーダーの価格は変化しないとか、台湾が計画以上の経費を負担する必要がないと自信を持っている等々と語っている。
●しかし以前台湾が早期警戒レーダーを同じFMS契約で購入した際、当初750億円だった計画が、追加経費の発生とかで150億円も予算オーバーしたのはつい最近の事例である。
//////////////////////////////////////////////////////
オバマ政権が中国よりの姿勢を強める中、台湾など誰も後押ししてくれないのでしょうか? 台湾の状況は見るに忍びないです・・・。
日本にとっては「対岸の火事」ではありません。最近のホワイトハウスの動きは、そんな事を本気で心配しなければならない状態のようです
台湾関連の記事
「潜水艦用のハプーン受領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-08-1
「10年不履行:台湾への潜水艦売却」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-28
「台湾の巨大な中国監視レーダー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-28
「台湾で中国軍事の研究会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-16
「更に悲しき台湾F-16話」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-14