F-35エンジン部品に亀裂:再設計へ

F35-engine.jpg7日付defense-Newsは、F-35の全タイプに使用されているF135エンジンの耐久試験で、「Blisk」と呼ばれる第一段階ローターブレイドに亀裂が発生し、当該部品の再設計が必要になるとの関係者の発言を紹介しています
米国防省のF-35計画室長Bogdan中将やエンジン製造企業関係者は、年内に対策が完了し、当該部位を交換すれば既に製造積みのエンジンも使用可能と説明していますが、更なるエンジン重量の増加や経費分担の課題があるほか、エンジンの重要部位だけに「本当に大丈夫か?」との声が上がっているようです
7日付defense-Newsによれば・・
●エンジンの問題部位は第一ステージのIBR(Integrally Bladed Rotor:通称Blisk)で、地上で実施するエンジン耐久テストで2200時間を経過した段階で亀裂が発生した。2200時間は約9年間の現場使用と同等の時間である
●エンジンを製造するPratt社は既にIBRの再設計に取り掛かっており、これまで「中空構造」になっていたIBRをシンプルで安価な技術で製造可能な「Solid構造」に置き換えるものである。これによりエンジン重量が6ポンド増加する
F-35-Netherland.jpg●IBRの亀裂はF-35B型のエンジン試験中に発生(昨年12月)したが、F-35の全形態に関連する部位である。Bogdan計画室長は「年内に対策を固められると思うが、エンジンに搭載しての再評価にもう少し時間が必要だろう」と語った
●Pratt社の報道官は「我々の地上試験は、飛行中に問題が発生しないよう、事前に課題を洗い出すものであり、試験がその役割を果たしてくれた。調査を継続しているが、飛行試験の安全には問題無く、運用中の機体には短期的な影響はない」と文書で説明している
●Bogdan計画室長は「製造済みエンジンへの対処は大変ではない。当該モジュールを取り出し、新しいBliskを取り付ければよい。この亀裂がエンジン寿命の1.5倍から2倍の時点で発生していたなら問題なかったが、第一段階寿命の終盤時点で発生したため対処を要すると判断した」と述べた
●更に同中将は「誰がこの再設計&修理経費を負担し、試験と生産が同時進行するF-35計画に鑑み、契約書の文面修正や解釈が必要かを議論しているところである」と説明した。
●また計画室長は以前発生していたF-35B型の機体内隔壁の亀裂に関連して「試験ではそのような問題を把握し、調査し、修正するのだ。必要な時間と予算を確保している。将来も起こりいうるだろう」と述べた
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F135 engine2.jpgF135 en2.jpgBogdan中将は「we managed to do some pretty good damage:かなりの問題に対処している」とAviation Week主催の講演で語ったようです。
エンジン製造企業による「マイナーな問題と信じている」との発言と微妙にトーンが異なるような気がしますし、「年内」に対策の方向が固まるとの言葉を今後フォローする必要がありそうです。
調査を継続しているが、飛行試験の安全には問題無く」も理解に苦しみます。Bogdan中将は、地上試験中にIBRが「Blew:吹っ飛んだ」と表現していますが、こんなエンジンで以降試験を継続して大丈夫でしょうか? 
F-35の飛行試験も時間が経過し、機体の金属疲労や亀裂問題が表面化し始める時期です。「見切り発車突貫工事」の付けが回って来ないことを祈るばかりです・・・。
「亡国のF-35」カテゴリー記事94本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1

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