23日付米空軍協会web記事が、3月にご紹介したF-35エンジン部品の亀裂問題について、Pratt & Whitney社の軍事エンジン部門のBennett Croswell社長が、試験の条件などを良く精査しないと要求性能を満たしていないとは言えないと主張したと報じています
3月に表面化の問題とは
●エンジンの問題部位は第一ステージのIBR(Integrally Bladed Rotor:通称Blisk)で、地上で実施するエンジン耐久テストで2200時間を経過した段階で亀裂が発生した。2200時間は約9年間の現場使用と同等の時間である
●エンジンを製造するPratt社は既にIBRの再設計に取り掛かっており、これまで「中空構造」になっていたIBRをシンプルで安価な技術で製造可能な「Solid構造」に置き換えるものである。これによりエンジン重量が6ポンド増加する
Pratt & Whitney社のCroswell社長は
●昨年末に発生したF-35のF135エンジン試験のトラブルに関し、関連備品の再設計費用を我が社が負担するかどうかは現時点で不確定である
●通称Bliskといわれる部分の亀裂は、エンジン設計寿命の77%段階で発生したが、何か設計に不備があったのかどうかは不明で、責任の所在を議論するのは時期尚早である
●試験では、短期間に多くの負担を詰め込んでおり、要求されている性能よりも負担が掛かっていたとも言われており、部品に問題があったというのは早計だからだ
●部品が要求を満たしているかの試験は、今年後半に実施されるだろう。コスト低減を目的とした新部品の設計は既に始まっており、将来投入されるかもしれない
●部品の亀裂は大きな問題ではないと判断され、F-35の飛行は継続されている
F-35エンジン部品は分散して製造
●F-35エンジンの全ての部品は、一つの工場に依存することがないようにする。これまで部品製造は、「コスト低減と価値追求」を優先にして製造場所の配置を検討してきたが、この考えを改める
●昨年、国防省F-35検討室の計画で実施した「sustainment war game:兵站維持演習」の結果、これまでの計画に問題があることが明らかになった
●同演習内で発生した鍵となる工場での火災により、部品供給ルートの完全麻痺の恐れが生じたからである。この結果を元にP&W社は、「一つの工場の事故が全体を麻痺させない」方式を採用することにした。
●この「no single point of failure」アプローチの考え方はエンジン組み立てにも広げられる。これまでコネチカット州とフロリダ州で組み立てられていたが、更にイタリアとトルコのFACOでも実施する
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エンジンについて詳しくありませんが、本F135エンジンは、最後まで代替エンジン製造の必要性が話題になっていた負の話題いっぱいのエンジンです
「部品が要求を満たしているかの試験は、今年後半に実施されるだろう」とはのんびりした話ですねぇ・・亀裂なのに・・・
イタリアとトルコは、このようにして「亡国のF-35の泥舟」から逃れられなくなっていきます。日本は目をつぶって猪突猛進地獄まで・・・でしょうが