17日付Defense-News記事が、中東歴訪中の14日に湾岸諸国(GCC)国防相会議に出席したヘーゲル長官の様子を分析した専門家の意見を紹介しつつ、米国に懸念を持つ中東と北アフリカ諸国がロシアの影響を受けつつあるとの懸念を報じています
ヘーゲル長官は今回の中東歴訪で、サウジで同会議に出席した後、イスラエルで独立記念行事に参加する「バランス取り過ぎ」日程を組んでおり、中東に本拠地を置くシンクタンクの専門家も一言言いたかったのかもしれません
専門家所属の研究機関は「INEGMA:Institute for Near East and Gulf Military Analysis」(http://www.inegma.com/)で、ドバイに本部、ワシントンDCとブラッセルとベイルートに支局がある研究機関です
表面的な会議でのやりとりは
●ヘーゲル国防長官はケリー国務長官の発言、つまり、イランとの交渉は地域の安保を犠牲にするものではないとの声明を繰り返し、地域への米国関与に変化無しと強調した。
●GCC事務総長はこれに答え、米国とGCC関係の重要性を述べ、米国が地域の安定と安全保障に重要なGCCの同盟国だと表現した
●サウジ王子は、湾岸地域が今や、絶えざる脅威にさらされていると語り、関係国の軍事協力強化を求ると発言した。
●更にサウジ王子は、いくつかのアラブ諸国内に政治危機があり、大量破壊兵器獲得の試みや他国への干渉行為も見られると懸念を示し、同時に米国と湾岸諸国との強力な関係が地域の安定と安全に貢献してきたと強調した
INEGMAの研究部長は
●ヘーゲル長官は湾岸協力会議(GCC)の国防大臣達に、イラン対応を含む中東湾岸地域問題への米国関与と国防協力強化を再確認したはずだが、湾岸諸国はクレムリンとの強い繋がりにも依然として目を向けている
●INEGMAのTheodore Karasik調査分析部長は「現在の米政権は、中東から投げられた外交政策案件のボールを、全て受け取らず床に落としている状態だ」と述べた
●また同部長は「今回のへーゲル長官の中東訪問では、シリア問題での米国の無行動やイランへの曖昧な態度に関する、アラブ諸国の不信感を払拭出来なかった」とも語った
●更に「一方でロシアは、イラクやUEAやアルジェリア等々で市場開拓に成功し、地域でのプレゼンス拡大を見据えている」、「米国の“口先だけ政策”を横目に、中東&北アフリカ諸国とロシアの関係は強固である」と情勢を語った
●そして「ロシアが一層騒がしくなっているため、当該地域の国の中には、ロシアにより接近する国も出るだろう」、「それら国々は米国のウクライナ政策を誤りだと見なしており、米国とEU主導のロシア制裁措置に関し、ロシア寄りの立場を取るだろう」と分析している
一方で、米国の元外交官(大使経験者)は
●ヘーゲル長官は会議前、GCCのBMDやサイバーや航空/海洋安全保障での能力強化に焦点を当てたい、と語っていたが、会議後に具体的な発表は何もなかった
●米国は地域機関としてのGCCを相手に対話したいと考えているようだが、現実には2国間(サウジやUAE等)の武器システム売却交渉が中心である
●元米国大使であるRichard LeBaron氏は「昨年12月、ヘーゲル長官は組織としてのGCCに装備品を売却することを提案した。GCC自身に考えさせるためである」と述べた
●LeBaron氏は更に、「ヘーゲル長官は米国の関与を再確認する為に会議に主に参加した。しかし今や双方が関与を再確認する時ではないか」、「米軍が3.5万人を当地域に残置し、航空機や艦艇の展開を継続するなら、GCCにも何かを求めるべきだ」と訴えている
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米国は、同盟国やパートナー国の自助努力を求め、
米国の同盟国やパートナー国は、米国の関与が弱まるのを見て、新たな「大樹の陰」を求め安易にさまよう・・
ロシアや中国は、そんな隙間につけ込んで、勢力拡大を着々と進める・・
まんぐーすが言うまでもなく、世の多くの人が気付いていながら止められない、流れがやみません。人間は進歩していませんね。
ところで、米国防省webサイトは猛烈な勢いで国防長官の「イスラエル訪問」を宣伝しています。大量の写真と記事で・・
ヘーゲル長官がイスラエルに冷たいとの印象払拭に懸命なのでしょうが、苦しいときの「ユダヤ頼み」なんでしょうか?
ヘーゲル国防長官の中東歴訪特設ページ
(イスラエル訪問をタップリ紹介)
→http://www.defense.gov/home/features/2014/0514_hagel2/