14日付米海軍協会web記事は、英国やロシアメディアの報道を引用しつつ、中国海軍の新型ミサイル駆逐艦ルーヤンⅢ級(Type 052D)に搭載される対空レーダーが、ステルス戦闘機F-35を遠方で発見でき、搭載の艦対空ミサイルで攻撃可能かもしれないと、不確かながら報じています。
そう簡単ではない・・・との不信感いっぱいで記事は書かれていますが、もしかしたら・・・あの原理で・・との推測も含まれており、興味深いのでご紹介します
まず米海軍協会web記事で概要を
●中国海軍の新型ミサイル駆逐艦ルーヤンⅢ級(Type 052D)に搭載される対空レーダーは、「Type 346 AESA radar」と「Type 518 L-band radar」で、これに艦対空ミサイル「CPMIEC HQ-9B」システムを連接して運用する
●ロシアアカデミーのSivkov部長は、同中国艦艇の「AESA radar」は、F-35を約190nmで探知して追尾し、対処兵器を指向させることが可能だと主張している。ただし艦対空ミサイルの射程は約110nmであるが。
引用元の英国報道は
●露の「Voice of Russia」によれば、露アカデミーのSivkov部長は、中国は多くの開発の困難に直面しながらも、ロシアの支援を受けつつ「Type 346 AESA radar」を開発したと語っている
●中国が最も苦労したのはAESAシステムの扱いだが、これを克服してF-35戦闘機を350kmの距離で探知できるレーダーを手にした
●更に、露アカデミーのZolotaryov米国研究副部長は、同中国艦艇は米軍のF-35を探知できるだけでなく、米軍機による電子妨害にも対処できる能力を備えていると語った
英国の専門家は
●英国王立研究所のElizabeth Quintana女史は、レーダー技術に革新があり、ロシアの防空システムは恐らくF-35を探知可能で、中国艦艇にも技術が適応されており、益々懸念が深まっていると語った
●ロシアは航空機に対処する技術で大きな進歩を成し遂げ、中国が活用している技術の組み合わせも興味深い
●F-35やそのステルス技術は、その形状や特殊な塗装によって達成されてきた。これらの技術は極秘扱いされている
●しかしF-35への脅威は、異なった複数の周波数を放射するAESAレーダー技術によってもたらされた。頻繁に周波数を変更することにより、レーダーを誤魔化すことが困難になるのだ。
●中国艦艇に搭載されるレーダーは、ステルス機を220nmで探知できるといわれている
14日付米海軍協会web記事の記者は
●ステルス機はC, X and Kuバンド周波数を対象に設計されており、波長が長い電波(SやL)に対しては徐々にステルス性が失われていく
●そこで米海軍のSPY-1レーダーやRaytheonが開発中の「Air and Missile Defense Radar (AMDR)」のように、Sバンド周波数の高周波帯を使用して対処兵器運用可能なレベルにする方法もある
●中国艦艇の新レーダーがそのタイプである可能性はあるし、そのような兆候もあるらしい
●一方で、波長が長い周波数のレーダーは「分解能」が悪く、ミサイルを誘導する等の兵器誘導が出来ない
●この場合、複数の波長の長いレーダー情報をネットワークで結んでリアルタイムに処理して「分解能」の悪さを克服する手法も考えられる。しかしロシアや中国にこの技術があるとは考えにくい
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英国の専門家が語る「異なった複数の周波数を放射するAESAレーダー技術」でステルス機に対処・・については真偽のほどが良くわかりません
お近くの専門家に聞いてみてはいかがでしょうか? またご教授いただければ幸いです
組織的なハッカー攻撃や人的スパイ行為により、米国の最新技術がある程度中国やロシアに流出しているのは確かでしょうから、米国等が考えている「対ステルス技術」が、ある日突然、中国で実現されて登場する可能性も否定できないでしょう
米海軍と米空軍の思想の相違:対中国の航空作戦
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22